はじめに
「1on1を導入したものの、形骸化している」 「部下が本音を話してくれない」 「毎回、ただの業務報告になってしまう」
多くの企業で1on1ミーティングが導入されていますが、「効果が出ていない」「やっている意味が感じられない」と悩む管理職は少なくありません。
1on1は、単なる業務の進捗確認ではなく、部下の成長を支援し、信頼関係を深めるための場 です。しかし、心理学的な視点を取り入れずに行うと、ただの「上司の面談」になり、部下の主体性を引き出すことができません。
本記事では、「1on1が機能しない原因」を心理学の視点から分析し、効果的な改善策を紹介します。
●1on1が機能しない3つの原因
1on1が効果を発揮しない背景には、以下の3つの心理的要因があります。
1. 心理的安全性が確保されていない
部下が本音を話せない理由の多くは、「話しても大丈夫」という安心感がないことにあります。
- 「こんなことを話したら評価が下がるかもしれない」
- 「上司が本当に自分の話を聞いてくれているのかわからない」
このような心理的不安があると、部下は表面的な話しかせず、1on1の意義が失われてしまいます。
2. 「アクティブリスニング」ができていない
上司が「聞いているつもり」でも、部下は「ちゃんと聞いてもらえていない」と感じることがあります。
- 話の途中で結論を急ぐ
- 部下の発言を遮る
- スマホやPCを見ながら対応する
こうした態度は、無意識のうちに部下の意欲を削ぎ、本音を引き出せない原因となります。
3. 目標設定が曖昧で、1on1のゴールが不明確
「とりあえず1on1を実施している」状態では、部下も上司も何を話せばいいのかわからず、時間が有効に活用されません。
- 「何を話すか毎回決まっていない」
- 「業務の進捗報告だけで終わる」
- 「フィードバックがなく、成長につながらない」
これでは、1on1の本来の目的である「成長支援」や「モチベーション向上」が達成できません。
●心理学を活用した1on1の改善策
では、心理学的なアプローチを取り入れることで、どのように1on1を改善できるのでしょうか?
1. 心理的安全性を高める「共感と承認」の姿勢
心理的安全性が確保されていないと、部下は本音を話せません。
そこで、1on1の冒頭で**「共感」と「承認」**を意識した言葉を使うことが重要です。
- 「最近どう?何か気になっていることある?」(オープンな質問)
- 「この間のプロジェクト、すごく頑張ってたね」(努力を承認)
- 「何か不安なことがあれば、気軽に相談してね」(安心感を提供)
こうした言葉を積み重ねることで、「この場では本音を話しても大丈夫」と感じてもらえるようになります。
2. アクティブリスニングを実践する
アクティブリスニングとは、「話を聞いている」というメッセージを相手に伝えながら聞く技術です。
具体的には、
- アイコンタクトをとる
- 相手の言葉を繰り返す(オウム返し)
- 話の内容を要約する(「つまり、○○ということですね?」)
これにより、部下は「ちゃんと聞いてもらえている」と感じ、安心して話せるようになります。
3. 目的を明確にし、1on1のフレームワークを設定する
1on1を効果的にするためには、明確な目的を持つことが重要です。
例えば、以下のようなフレームワークを活用すると、話すべき内容が整理されます。
1on1のフレームワーク(例)
- チェックイン(5分):最近の出来事や気持ちを共有
- 業務の振り返り(10分):進捗や課題を話し合う
- 成長・キャリアの話(10分):今後の目標やスキルアップの方向性を話す
- フィードバックと次回のアクション(5分):今後のアクションプランを決める
このように時間を区切ることで、1on1がダラダラと進行することを防ぎ、充実した内容にすることができます。
4. 部下のモチベーションを高める「内発的動機づけ」
心理学者エドワード・デシによる「自己決定理論」によると、人のモチベーションは以下の3つの要素で高まると言われています。
- 自律性(自分で決められる感覚)
- 有能感(成長できている感覚)
- 関係性(周囲とつながっている感覚)
これを1on1に応用すると、
- 「この仕事、どう進めるのがいいと思う?」(自律性)
- 「最近できるようになったことって何かある?」(有能感)
- 「何か困っていることがあれば、いつでも相談してね」(関係性)
といった質問を投げかけることで、部下の主体性を引き出しやすくなります。
●1on1の質を高め、組織の成長につなげる
心理学的アプローチを取り入れた1on1を実施することで、
- 部下が本音を話しやすくなる
- 主体的に行動できるようになる
- 組織のエンゲージメントが向上する
といった効果が期待できます。
●1on1のスキルを磨くためにラポトークを活用しよう
ラポトークでは、1on1の質を高めるための研修やコーチングを提供し、管理職がより効果的に部下と向き合うためのサポートを行っています。
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