はじめに
4月。新しいメンバーを迎えたり、人事異動でチームの構成が変わったりするこの季節は、多くの職場で“再スタート”の時期でもあります。
このタイミングで意識しておきたいのが、「心理的安全性」というキーワードです。
「心理的安全性」とは、組織の中で「自分の意見を言っても否定されない」「間違いや失敗をしても非難されない」という信頼感がある状態のことを指します。Google社の調査でも、心理的安全性が高いチームは創造性や生産性に優れていると明らかになっています。
この記事では、新年度のチームビルディングにおいて“心理的安全性”がなぜ重要なのか、そしてその土台をどう築くのかを、心理学の視点から丁寧に解説していきます。
心理的安全性が注目される理由とは?
心理的安全性(Psychological Safety)という概念は、組織心理学者エイミー・エドモンドソンによって提唱されました。
彼女の研究では、医療現場において「失敗の報告数が多いチームほど、実は良好なパフォーマンスを上げている」という興味深い結果が出ました。これは、メンバーが「ミスを報告しても非難されない」と感じていたからこそ、早期の対処が可能になっていたのです。
この“安心して発言できる空気”こそが、学習と成長、ひいては成果に直結する——それが心理的安全性が注目される最大の理由です。
新年度のチームが不安定になりやすいワケ
新年度は、期待感とともに“緊張感”も生まれやすいタイミングです。
- 新人は「何を言っていいか分からない」
- 異動者は「自分の居場所が見つからない」
- 既存メンバーは「チームの空気が変わって不安」
こうした状況では、誰もが“様子見”になり、発言が減りがちです。沈黙が続くことで、さらに話しづらい空気が生まれ、負のスパイラルに陥る危険があります。
だからこそ、「心理的安全性」を意識的に築いていくことが、新年度のチーム運営では欠かせないのです。
心理的安全性を高める4つの要素
エドモンドソンの研究では、心理的安全性を高めるために、以下の4つの要素が重要だとされています。
✅ 1. 話す勇気を支える“リーダーの姿勢” リーダーが自分のミスや不安を率直に共有することで、「自分も話していいんだ」と感じられる土壌ができます。
✅ 2. 発言への“肯定的なリアクション” どんな意見であっても、まずは「ありがとう」「面白い視点だね」と受け止める姿勢が、発言を促すきっかけになります。
✅ 3. 多様性の受容 背景やスキルの異なるメンバー同士が尊重し合い、「違いを歓迎する空気」があることで、安心感が醸成されます。
✅ 4. 成長のための“安全な失敗”の許容 失敗に寛容な文化があることで、メンバーは挑戦しやすくなり、創造性も高まります。
職場で実践できる“心理的安全性”の高め方
✅ 1. 1on1で「感情」にも耳を傾ける 業務の話だけでなく、「最近どう感じてる?」「今のチームの雰囲気ってどう思う?」など、感情レベルのやり取りを増やすことで、信頼関係が深まります。
✅ 2. “ファーストペンギン”を勇気づける 初めて手を挙げた人、質問した人、提案した人にはしっかりと感謝や称賛の言葉を伝えることで、他の人も続きやすくなります。
✅ 3. 雑談やオフラインの交流を大切にする 非公式な場での関係構築が、心理的安全性の下支えになります。「あの人なら話せそう」と思える関係があるだけで、仕事への安心感が変わってきます。
✅ 4. 「沈黙」にも意味を与える 全体会議などで発言が出ないとき、「今は皆が考えている時間だよね」とリーダーが言語化することで、沈黙=悪いことという認識を変えることができます。
おわりに:チームの“土台”を育てるのは日々の積み重ね
心理的安全性は、一朝一夕で築けるものではありません。
日々の言葉がけや態度、関わりの中で少しずつ育てていく、いわば“関係性の土壌”です。そしてそれは、業務効率や成果を上げるための近道であると同時に、メンバー一人ひとりが「ここにいていい」と思える職場をつくる道でもあります。
この新年度、ぜひ意識的に“安心して働けるチーム”を育てていきませんか?
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