シリーズ①  好きな仕事しかしない社員への対応法

1.   はじめに

皆さんの会社には、いわゆる“窓際族”と言われる人種がいませんか。特にインセンティブがない企業や結果を残さなくても等級の変化がない企業では、この窓際族のマネジメントに悩む管理者も多いと思います。
今回は、窓際族マネジメントのシリーズ①として、「好きな仕事しかしない社員」にフォーカスして、リモートワークやフレックス制度の中で効果的にマネジメントを行う方法を考察します。

2.   考察にあたって

大企業におけるリモートワークやフレックス制度の導入は、働き方の柔軟性を高め、社員のワークライフバランスを支援します。その一方で業務の分担が不公平になり、特定の社員が好きな業務だけを選んで行うことで、他の社員に業務の負担が偏り、モチベーションの低下が見られることがあります。このような問題は、チーム全体の士気に悪影響を与え、企業全体のパフォーマンスにも悪影響を及ぼすことが考えられます。本記事では、リモートワークを利用しつつ、自分の好きな仕事しかしない社員に対する適切なマネジメント方法を探ります。

3.   考察~なぜ好きな仕事しかやらない社員が生まれるのか~

業務の選択権の自由度
リモートワークやフレックス制度により、社員が自身の業務を選択できる自由度が高まると、好きな仕事や得意な仕事に集中しがちです。これが結果として業務の分担に不公平が生じ、特定の業務が他の社員に集中する原因となります。
普段から“好きな仕事しかしない”というスタンスの社員がいる場合も同様で、リモートワークやフレックスの制度があることで、管理者にそのスタンスが見えにくくなることもあります。出社をしないとできない作業がある場合については、必然と出社をしている社員に負担がいくので、平等にリモートワークやフレックスの制度を活用できるかも課題として挙げられます。

●コミュニケーションの不足
リモートワーク環境では、業務進捗やタスク分担についてのチーム内のコミュニケーションが不足しがちです。そのため、業務の偏りや不満が生じても、タイムリーに対応できないことが多く、問題が悪化することがあります。管理職にわざわざメールをしてまで悩み相談をしない社員も多いです。
部下間のやり取りを全て把握をするのも現実的ではないので、その中でどのようにコミュニケーションをとっていくかが課題として挙げられます。特に、交代でリモートワークやフレックスをとっていてなかなかチーム全体がそろわない場合は、社員同士の状況把握がなおさら難しくなります。

●責任感の欠如
自分の好きな業務にしか取り組まない社員は、チーム全体の目標や責任感を軽視する傾向があります。このような姿勢は、他の社員に余計な負担をかけ、チームの一体感を損ないます。特に大企業に多く見られる傾向ですが、給与は変わらない、という理由で嫌な仕事を極力避ける社員も一定数います。価値観自体を変えることは難しい場合もあるので、そのような価値観を持っている社員とどのように接していくかが課題として挙げられます。

4.解決策

1.  業務選択の自由が他の社員に業務負担を偏らせる問題
業務カテゴリー分けをしたローテーション制の導入
業務が偏らないよう、一定期間ごとに全社員が様々な業務を担当するローテーション制度を導入し、業務選択をルール化します。これにより、特定の業務に固執することなく、チーム全体での業務負担が均等に分散されます。ただ、チーム全体で業務を割る場合、様々な理由で必然と他社員がその分のしわ寄せを負担しなくてはならない場面が生まれる可能性がありますので、その負担が1人に集中しないようにフォロー体制まで事前に考慮しておく必要があります。 業務カテゴリー分けをしたローテーション制を導入するというのも1つの方法です。
業務を「得意業務」「チャレンジ業務」「サポート業務」のようにカテゴリー分けし、各社員が週や月ごとにそれぞれのカテゴリーから最低1つは担当するように義務づけます。これにより、好きな仕事だけに集中することを防ぎ、幅広い業務に取り組むよう促します。特定の業務ばかり選択することを防ぐために、業務選択のルールを明文化します。社員が好みの業務を選びつつも、全員が全体の業務に責任を持つように調整するガイドラインを設けます。

●不透明なコミュニケーション問題
定期的なオンラインミーティングの開催
リモートワーク環境下で進捗や負担の可視化が不足する場合には、チーム内で業務進捗や負担状況を共有するために、週次または月次のオンラインミーティングを開催します。この場で、各社員が現在のタスク状況や問題点を報告し、チーム内のコミュニケーションを活性化させます。
全体のミーティングの場に限らず、進捗報告を義務化をして、管理者が担当のそれぞれの状況を把握した上で、ミーティングを設け、各担当の業務負担が本当に偏っていないかも見極める必要があります。1対1のフィードバックセッションなどの機会を設け、チームリーダーやマネージャーが定期的に個々の社員と1対1でフィードバックセッションを行い、業務の進捗や不満点、改善点を確認します。これにより、個別の問題を早期にキャッチして対処できるようになります。これにより、業務の透明性が向上し、タスクの進捗が見えにくいリモート環境でもリアルタイムで状況を把握できるようになります。

●責任感の欠如~好きな仕事しか担当しない社員がチーム全体の目標を軽視~
明確な目標設定と責任の共有
チーム全体の目標を明確にし、各メンバーがその目標にどう貢献するかを理解させます。個々の役割を明確にすることで、全員がチームの成功に責任を持つ意識を醸成します。

パフォーマンス評価の導入
好きな仕事だけを選ぶ社員には、パフォーマンス評価を導入して、チーム全体に対する貢献度や成果を定量化します。これにより、個々の成果に基づいた評価を行い、他の社員に不公平感が生じないようにします。報酬やインセンティブ制度の見直し: チーム全体の目標達成や多岐にわたる業務を担当することを評価するインセンティブ制度を導入します。個別の業務選好に偏らず、幅広い業務に取り組むことが評価される仕組みを作ることで、責任感を高めます。

5.  結論

インセンティブがない企業や結果を残さなくても等級の変化がない企業では、“窓際族”と言われる人種が排出されやすくなります。リモートワークやフレックス制度を効果的に活用するためには、業務の透明性やコミュニケーションを強化し、業務の偏りを防ぐ取り組みが不可欠です。タスクの割り当てやルールを明確にし、社員全員が公平に責任を持って業務に取り組めるような仕組みを整えることが、チームの士気向上につながります。

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