過去の自分と今の自分が“合わなくなる”のは悪いことではない

「昔の自分ならできたことができない」
「前は喜べたのに、今は同じことをしても心が動かない」
「過去の価値観と今の自分がズレている気がする」

この違和感を抱えた瞬間、私たちはしばしば不安になります。
しかし心理学的には、これは “心の成長”が起きているサイン です。

人のアイデンティティ(自己認識)は、環境や経験によって常に変化します。
にもかかわらず、多くの人は過去の自分像に心を縛られたままです。

その結果——

  • 「昔はこうだったのに」という自己否定
  • 「変わってしまった自分」への罪悪感
  • 「今の自分」への迷いと不安

これらが“生きづらさ”として現れます。

だからこそ必要なのが、

EQを使った「心の再構築(リコンストラクション)」です。


なぜ“心の再構築”が必要なのか(EQで解説)

EQ(心の知能)は、
①自己認識 → ②自己理解 → ③自己調整
というステップで発揮されます。

過去の自分と今の自分がズレていると、EQの最初のステップ「自己認識」が乱れます。


◇ ① 過去の価値観が“自動思考”として残る

人の脳は、過去に形成された価値観・思い込みを「今も正しい」と誤認します。
たとえば、

  • 「頑張り続けなければいけない」
  • 「弱音は吐いてはいけない」
  • 「我慢するのが普通」

これらは過去には役立ったかもしれませんが、今はあなたの成長に合っていない可能性がある。


◇ ② “古い基準”で今の自分を評価してしまう

例:
昔は仕事をガンガンこなせた → 今は疲れる
=「自分は落ちた」と感じる

でも実際には、
価値観が変わった・役割が変わった・ライフステージが変わった
だけかもしれません。


◇ ③ EQが働きにくくなり、迷いが増える

自己認識のズレは、意思決定の迷い、モチベーション低下、自信喪失を招きます。
「今の自分が何者か分からない」状態になるからです。


EQ式:“心の再構築”ワーク(すぐできる)

ここからは、そのまま実践できるワーク形式で解説します。


ワーク① 過去の自分を“棚卸し”する

紙を用意して次を書き出してください:

  1. 過去の自分が大切にしていた価値観
  2. 過去に当たり前だった習慣・行動
  3. 過去の自分が「正しい」と思っていた基準

  • とにかく努力至上主義
  • 周りの期待に応えることが最優先
  • 我慢するのが美徳

これらを可視化すると、
あなたの心が何に縛られているか が見えてきます。


ワーク② 今の自分の価値観を言語化する

次に、現在のあなたにこう問いかけてください:

  • 今、本当に大事にしたいことは?
  • 今の私の優先順位は?
  • どうありたい?

  • 健康や心の余裕が最重要
  • 人より自分のペースを大切にしたい
  • 無理をしない働き方をしたい

過去とは異なる価値観が出てくるはずです。


ワーク③ “変わったのは悪いことじゃない”と再定義する

ここが心の再構築の核心です。

過去 → 今 の変化を肯定的に言い直す。


「昔は動けたのに今は動けない」
→「昔より“自分を大切にする力”が育った」

「昔は人のために頑張れたのに今は頑張れない」
→「境界線の感覚が成熟してきた」

変化を「劣化」と捉えるのは脳のクセです。
EQでいえば 自己認識を健康な形にアップデートするプロセス が必要なのです。


ワーク④ 今の自分が必要としている“役割”を決める

あなたが今のステージで求めているのは、

  • 戦うこと?
  • 積むこと?
  • 休むこと?
  • 守ること?
  • 学ぶこと?
  • 整えること?

この“役割の再定義”ができると、行動が一気に軽くなります。


ワーク⑤ “これが今の私”という宣言文を作る

最後に、
今のあなたを短い文章で定義する
= 心の再構築のゴール。

  • 「私は無理しない生き方へ移行している途中にいる」
  • 「私は優先順位を見直している最中の自分を大切にする」
  • 「私は成長したから、過去と同じでなくていい」

これを書き換えると、“今の自分”を肯定できるようになります。


過去と今がズレるのは「変化している証拠」

生きていれば、

-価値観
-人間関係
-環境
-役割
-心の強さ・脆さ

どれも変わります。

にもかかわらず、私たちはしばしば
古い自分に合わせ続けてしまう。

だから苦しくなる。


今のあなたに合った“新しい自己像”を作っていい

EQの本質は、
感情・価値観・行動のズレを整える力。

過去に縛られず、
今のあなたにふさわしい自分へ心を再構築していきましょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です