「うちの若手は、何を考えているかわからない」
マネジメント層や育成担当者から、よく聞かれるこの言葉。
「最近の若手は本音を言わない」「大丈夫か聞いても“はい”しか返ってこない」
「悩んでいるのかすら、気づいたときにはもう辞めたいと言われる」
実はこの問題、若手社員の“性格”や“主体性の欠如”ではなく、環境側の構造的な問題であるケースが大半です。
特にZ世代と呼ばれる若手社員は、「本音を語ること」に対して非常に繊細な感覚を持っています。
単に「自由に言っていいよ」というだけでは、彼らの本音は出てきません。
本記事では、Z世代の若手社員が本音を出しづらくなる構造的な背景と、企業・チームが実践できる“空気のデザイン”について解説していきます。
なぜ若手は“本音を隠す”のか?よくある3つの心理
1. 「言っても変わらない」と感じている
多くの若手が共通して語るのがこの感覚です。
「改善点を出しても“そうなんだ”で終わる」
「誰に相談しても、“まぁ最初はそんなもんだよ”と言われてしまう」
Z世代は、学生時代から“選択肢が多い社会”で育ってきた世代です。
「言ったのに何も変わらない=自分の声は意味がない」と感じやすく、フィードバックが行動につながらない組織では自然と沈黙を選びます。
2. 「空気を壊したくない」と思っている
Z世代の特徴のひとつが、「人間関係の平穏を重視する」傾向です。
たとえ内心に不満や違和感があっても、それを言葉にすることで自分が「面倒な人」と思われたり、「生意気だ」と評価されることを避けようとします。
「今の雰囲気を壊す勇気がない」
「ちょっとした違和感をわざわざ言うのは“空気読めてない”気がする」
このように、“正しさ”よりも“場の調和”を優先してしまうのがZ世代のリアルです。
3. 「聞かれていないから、言っていない」だけ
若手社員からの本音が出てこない時、実は「質問の仕方が悪い」というケースも少なくありません。
たとえば…
- 「困ってることない?」 → 「ないです」
- 「不満とかある?」 → 「大丈夫です」
これは、答えにくい聞き方の典型です。
本人は「あるけど、どう言えばいいかわからない」「言っても否定されそう」と感じている場合も多いのです。
本音が“出せる”空気をつくるには?
ポイント1:「聞く準備」ができていることを見せる
“意見を言える空気”とは、自由に話していい空間というより、「この人ならちゃんと受け止めてくれる」と思わせられる関係性の上に成り立っています。
- フィードバックや相談があった時、すぐに否定しない
- 小さな声でも「ありがとう、助かる」と返す
- 「それ、どういう意味だと思ってる?」と深掘りする姿勢を見せる
このような積み重ねが、「言っていいんだ」という信頼につながります。
ポイント2:自己開示とセットで聞く
若手が本音を出せないのは、「どこまで言っていいのか」の境界線が見えていないからです。
そんなとき有効なのが、上司や先輩が自分から“ちょっと弱い話”を先に出すことです。
- 「実は自分も新人のとき、こういうことがしんどかった」
- 「今でも会議で緊張するよ」
- 「言いにくいことって、俺もけっこうあるんだよね」
こうした自己開示があることで、「この職場では本音を言ってもいいんだ」という安心感が生まれます。
ポイント3:「Yes/No」で終わらない聞き方をする
前述のとおり、「困ってることない?」という質問には“ノー”と答えやすい構造があります。
では、どう聞けばよいか?
- 「最近、少し気になることってある?」
- 「今日の業務で、やりにくさを感じた場面は?」
- 「今の仕事に“違和感”があるとしたら、どんなとき?」
これらのように、“気づき”や“違和感”レベルの質問を投げることで、本音のきっかけを与えることができます。
ポイント4:「意見を拾う仕組み」をつくる
個人のスキルに頼るだけではなく、制度や文化として本音が拾える場を仕組化することも有効です。
- 毎月の“フィードバックサーベイ”に自由記述欄を設ける
- 「ちょっと話したい」を気軽に投げられるSlackチャンネルをつくる
- 定例会で「最近あった“もやっとしたこと”」を共有する時間を設ける
- 若手だけの“気軽な相談会”を社内で企画する
“声を上げた者勝ち”ではなく、“声が自然と出る環境”があることが重要です。
「言いやすさ」は、信頼残高の蓄積
Z世代に限らず、人が本音を語るには、「この人なら大丈夫」「この組織なら安心」という前提が必要です。
その前提をつくるのは、1on1のときだけではなく、日々の小さな言動の積み重ねです。
- ちょっとした指摘を、肯定的に受け取ってくれた
- 自分の意見に対して、「それいいね」とリアクションしてくれた
- 違う視点を持っても、「そう考えるのも自然だよね」と言ってくれた
こうした“信頼の預け入れ”があって初めて、本音という“引き出し”ができるのです。
DRAMATIC CAREERSでは、若手が“本音で働ける職場づくり”を支援しています
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本音を“引き出す”のではなく、本音が“自然と出る”組織づくりへ。
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