若手社員に「もっと発言してほしい」と思っていませんか?
- 「会議で意見が出ない」
- 「若手が受け身になっている」
- 「場が静まり返ってしまう」
そんな悩みを持つ企業やマネジメント層は少なくありません。
けれども、「最近の若手は自分の意見がない」「もっと主体性を持ってほしい」といった若手側への期待や要求だけで、問題は解決しないのが現実です。
会議で発言しないのは、決して“性格”や“能力”の問題ではなく、“場の設計”と“心理的なハードル”が原因であることがほとんどです。
本記事では、若手社員の発言を引き出すために必要な「会議の場づくり」「仕組みの工夫」「マネジメントの姿勢」について、具体的に紹介していきます。
若手が会議で黙ってしまう「本当の理由」
1. “正解を言わなければいけない”というプレッシャー
「何か意見ある?」と聞かれても、「的外れなことを言ってしまうかもしれない」という不安が先立ち、発言に踏み出せない若手は多くいます。
特に正解主義が根強く残る企業文化では、「まず正しくなければ話してはいけない」という空気が若手の口をふさいでしまいます。
2. “誰がどう思うか”を気にしてしまう空気
会議に上司や役職者が同席している場合、発言の内容やタイミングが評価に影響するのでは、という“見られている感覚”が強く働きます。
その結果、「無難に黙っていよう」と判断する若手が出てくるのです。
3. 発言しても“意味がない”と思っている
「前にも提案したけど、結局採用されなかった」
「自分が言っても何も変わらない」
そういった過去の経験から、“発言しても何も変わらない”という諦めが染みついている場合もあります。
つまり、「発言してほしい」という表面的な期待の前に、その発言が受け止められる“土壌”を作ることが最も重要なのです。
発言を引き出すための会議設計法5選
① 「問い」を変える:“ある or ない”ではなく、“どう思うか”で聞く
NG例:
「何か意見ある人いますか?」
OK例:
「このアイデアについて、“良いと思ったところ”と“違和感を覚えた点”を一言ずつもらえますか?」
「ある or ない」の二択で問うと、答えにくくなります。
それよりも、前提として“何かしら思っている”ことを信じて問いを設計することで、自然と声が出やすくなります。
② 「発言のハードル」を下げる仕掛けを用意する
- 事前にトピックを共有し、意見を持ってきてもらう
- MiroやGoogle Jamboardなどのツールで“書いてから話す”スタイルにする
- グループに分かれて一度対話し、代表が意見を持ち寄る
こうした仕掛けにより、「今その場でパッと発言する」ことへの心理的ハードルを下げることができます。
③ 「発言しない自由」も認めた上で、選べる余地をつくる
「全員一言ずつ」ではなく、
- 発言してもしなくてもいい
- 後からチャットやメモで補足してもいい
といった、“その人のペースで参加できる設計”が重要です。
「参加=口頭で意見を言うこと」という一元的な定義を手放すことで、内向的なタイプの若手も安心して関われるようになります。
④ 発言を受け止める“リアクション力”を鍛える
意見を出しても、上司や周囲の反応が薄ければ、
「出してよかったのかな?」「場違いだったかな?」という不安だけが残ります。
- まずは感謝する:「出してくれてありがとう」
- 内容に応じて広げる:「そこ、もう少し聞かせて」
- 他の人にも意見を回す:「今の意見についてどう思いますか?」
このように、発言の“あと”の設計こそが、次の発言を生む連鎖をつくります。
⑤ “発言を拾う人”をマネージャー以外に置く
上司や進行役がすべてを拾おうとすると、どうしても視点が固定化されます。
そこで、あえて若手や中堅層に「ファシリテーション補助」や「メモ係」を任せることで、場の多様性や温度感が変わってきます。
「話す人」だけでなく、「聞く人」「拾う人」にも役割を持たせる。
それによって会議は“みんなでつくる場”に進化します。
会議は「話す技術」ではなく「場のデザイン」で決まる
若手が会議で発言しないとき、よくある対処法は「スピーキング研修」や「プレゼン練習」です。
もちろん、スキル向上は重要です。
しかしそれ以前に、「この場で話してもいい」「自分の言葉を大切にしてくれる」という安心感がなければ、発言は生まれません。
つまり、会議の設計は「話す側」を育てるのではなく、「話しやすい空気」を育てることが最優先なのです。
まとめ:若手の沈黙は、メッセージである
会議で若手が黙っているとき、私たちは「性格的に消極的なのかな」と思いがちです。
けれども、その沈黙の裏には、
- 「間違ったことを言いたくない」
- 「何を求められているのかわからない」
- 「話しても意味がないと思っている」
という深層のメッセージが込められていることを忘れてはいけません。
若手が“意見を持たない人材”なのではなく、
“意見を持っていても言いにくい場”になっているだけなのです。
DRAMATIC CAREERSでは、若手の意見が自然に引き出される「会議設計」や「対話文化の醸成」を支援しています。
- 会議ファシリテーション研修
- 若手社員の声を可視化するワークショップ設計
- チームの心理的安全性診断・改善施策の伴走支援
若手の沈黙を“能力の不足”とせず、組織の設計課題として見直す視点を取り入れませんか?