なぜ、あの新卒は辞めてしまったのか?

「希望していた部署とまったく違うところに配属されたんです」
「会社のことは嫌いじゃない。でも、仕事が想像していたのと違って…」

こうした声は、新卒の早期離職理由として年々増えています。

背景にあるのが、いわゆる「配属ガチャ」問題。
内定時点では明示されていなかった配属先が、入社後に初めてわかることで、本人の期待と実態のギャップが大きくなってしまう現象です。

では、企業はこの「配属ガチャ」にどう向き合えばいいのでしょうか?
単に“ガチャをなくす”のではなく、学生と企業がキャリアに関する合意を形成していくプロセスが求められています。

本記事では、「配属ガチャ」の構造を分解しながら、それを乗り越える“キャリア同意形成”の方法について具体的に提案します。


なぜ「配属ガチャ」が起きるのか?

1. 企業側の都合:人員調整・適性判断

多くの企業では、新卒を一括採用し、入社後に配属を決める「総合職採用」を行っています。
これは、組織の状況に応じて柔軟に人材を配置できるというメリットがある一方で、本人の希望とのズレが起きやすい構造です。

また、「入社後に適性を見て判断する」という方針も多く、配属の透明性や納得感に課題が残ります。


2. 学生側の盲点:「会社に入れば希望通りにいく」という思い込み

一方で、学生側も「この業界、この会社に入ればやりたいことができるだろう」という漠然とした期待を抱いているケースが多くあります。
実際の仕事の幅や、会社内での部署ごとの違いについての理解が浅いまま、入社してしまうのです。

この“想像のズレ”が、「配属ガチャ」という言葉を生み、失望感につながっていきます。


「ガチャ」と感じさせないために必要なのは、“合意形成”である

根本的な問題は、配属そのものではなく、「納得感」があるかどうかです。

どんな配属であっても、それが「想定の範囲内」であり、「選択に納得できる理由」があれば、学生は受け入れやすくなります。

そこでカギになるのが、“キャリア同意形成”という考え方です。

これは、配属やキャリアの方向性について、企業と学生が事前に対話を重ね、相互理解と納得のもとに意思決定をしていくプロセスのことを指します。

以下では、その具体的な方法を紹介します。


「キャリア同意形成」を実現する3つのステップ

1. 入社前の段階で「リアルな配属可能性」を開示する

  • 「○○職としての採用ではあるが、実際には△△部署に配属されることもある」
  • 「今年の新卒のうち、過去3年の配属実績はこうだった」
  • 「希望と実際の配属のずれが起きやすい理由」

こうした“配属のリアル”を包み隠さず伝えることで、学生側の期待値を適正にすることができます。

ポイントは、「正直に伝える」だけでなく、その背景にある企業側の論理や事情を丁寧に説明することです。
そうすることで、学生は「希望が叶う・叶わない」以前に、配属の意味や意図を理解しやすくなります。


2. 自己理解と職種理解の機会を提供する

「やりたいことが分からない」「向いている仕事が分からない」といった学生も多くいます。
その状態で内定をもらい、配属されても、ギャップが生じやすいのは当然です。

そこで有効なのが、入社前の段階で、自己理解と職種理解を促すプログラムの設計です。

たとえば

  • 職種別ワークショップや業務体験:営業、マーケ、開発、管理など実務を小規模体験
  • 自己分析支援:価値観診断やライフラインチャートを用いた対話型セッション
  • 社員とのクロストーク:各部署の働き方やキャリア形成を共有する座談会

これにより、学生自身も「希望していた部署より、実はこっちが向いているかもしれない」と気づくことがあり、配属の受容性が高まる効果が見込めます。


3. 配属決定後も“選択肢”を持たせる構造をつくる

どれだけ丁寧に対話をしても、配属後に「やっぱり合わなかった」と感じることは起こりえます。
その時に重要なのが、「変更できる余地がある」ことです。

  • 社内公募制度
  • 職種転換希望の面談機会
  • 配属後1年以内のローテーション制度

こうした制度があるだけで、学生は「ずっとここに閉じ込められるわけではない」という安心感を得ることができます。

また、配属理由を人事がしっかり言語化し、配属された職種での成長イメージや将来的なキャリアの広がりを本人に説明できることも極めて重要です。


「配属の一方的通達」から、「キャリアを共につくる関係」へ

Z世代の若者は、「会社にすべてを委ねる」という発想ではなく、「自分のキャリアは自分で選びたい」という意識が強い世代です。
その中で、「自分の知らないところで勝手に決められる」ことに対して、敏感に反応します。

企業に求められているのは、“本人の納得と参加を前提としたキャリア設計”をともに描く姿勢です。
一方的な配属ではなく、「どういう意図でこの配属なのか」「その先にどんな選択肢があるのか」を伝え、同意を形成していくことが、信頼と定着率を高めるカギとなります。


まとめ:配属は“通達”ではなく“対話”の起点に

「配属ガチャ」という言葉が表すのは、配属という仕組みそのものよりも、“自分の人生が他人に決められている”という感覚への拒否感です。

これを乗り越えるためには、企業と学生のあいだにキャリア観の共有と対話の積み重ねが必要です。

短期的に“離職を防ぐ”のではなく、長期的に“キャリアの納得感”を育てる視点で、採用と配属を設計すること。
それが、これからの人材戦略に求められる本質的な変化ではないでしょうか。


配属設計から“キャリア支援設計”へ

DRAMATIC CAREERSでは、新卒採用における「キャリア同意形成支援プログラム」の設計をお手伝いしています。

  • 職種理解ワークショップの企画・実施
  • 入社前面談や入社後フォロー設計
  • 社内異動・社内広報との連動支援

「配属=ガチャ」ではなく、「キャリアの第一章」をどう共に描くか。
Z世代との信頼形成を、本質的な仕組みから支援します。

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