「楽しそうなあの人」と「自分」を比べてしまう夜
ベッドの中、寝る前についスマホを手に取る。InstagramやX（旧Twitter）を開くと、友達や芸能人、知らない誰かの日常が次々と流れてくる――楽しそうな旅行、仲間との写真、夢を叶えた報告。
そんな投稿を見ているうちに、ふと気づく。「なんで私は、こんなに何もできていないんだろう」と、自己嫌悪に飲み込まれていく。
これは、いま多くの人が抱えている「SNS疲れ」の典型的なパターンです。
なぜSNSを見ると落ち込んでしまうのか？
1. 比較の罠にはまってしまう
SNSは「キラキラした一面」を切り取った投稿の集合体です。誰かの成功や幸せを見て、「自分には何もない」と感じてしまうのは自然なこと。
心理学ではこれを「上方比較」と言い、人間は自分より優れていると感じる人と比べることで、劣等感や自己否定感が生まれることが分かっています。
2. 承認欲求と“いいね”の数
「いいね」やコメント数が気になってしまうのも、SNSが心を疲れさせる理由のひとつです。
自分の投稿が評価されなかったとき、まるで自分の価値が低いように感じてしまう――この状態が続くと、自己肯定感がじわじわと削られていきます。
スマホとの付き合い方を見直すヒント
① 「見る時間」を決める
SNSを完全にやめる必要はありません。重要なのは、「無意識に見続けてしまう時間」を減らすこと。
- 朝起きた直後と寝る前は見ない
- 1日2回だけチェックする
- タイマーをセットして、10分だけにする
こうしたルールを決めることで、SNSとの距離感を整えやすくなります。
② ミュート・非表示・フォロー整理を恐れない
自分が見ていて苦しくなる投稿やアカウントを、ミュートやフォロー解除することは、自分を守る行為です。
「気を遣ってフォローしているけど、見ると落ち込む」というアカウントがあるなら、思い切って整理してみてください。
③ 「発信」よりも「内省」を優先する
SNSで“よく見られたい”という気持ちが強いと、自分の言葉や感情が押し込められてしまうことがあります。
ときには誰にも見られない場所（ノートや日記）に気持ちを書くだけでも、自分との対話が深まり、心が整っていきます。
「SNS断ち」がもたらす心の回復
SNSを1日だけでも見ない日を作ってみると、自分がいかに「他人の人生」を覗き見ることに時間を費やしていたかに気づきます。
そして同時に、自分の気持ちや生活に意識を向ける余白が生まれます。
- 気づいたら散歩していた
- 昔好きだった音楽を聴いていた
- 何となく心が軽くなっていた
これは、自分を比較ではなく、自分自身で満たすという感覚の始まりです。
あなたの心を守るために
SNSは便利なツールですが、使い方次第で自己否定の温床にもなってしまいます。
誰かの投稿が自分を苦しめているとき、それはあなたが劣っているからではありません。むしろ、「ちゃんと感じられる心」を持っている証拠です。
疲れたときは、一度スマホを置いて、“あなたの今”に意識を向ける時間をとってみてください。
比べることをやめたとき、心は少しずつ自由になります。
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