はじめに

「またあの人、あんな言い方してきた」
「なんで私ばかり、こんな目にあうのか」
「ずっと我慢してたけど、もう限界」

こんな風に、職場で感じる“モヤモヤ”をそのまま抱え込み、ある日突然、感情が爆発してしまったことはありませんか?

職場という環境では、立場や関係性、役割といった制約の中で感情を表に出しづらくなりがちです。だからこそ、小さな怒りや違和感を我慢し続けた結果、大きな爆発に繋がってしまうことも少なくありません。

この記事では、そうした「職場のモヤモヤが爆発してしまう心理的背景」と、怒りに振り回されないための「アンガーマネジメントの基本」について、心理学やカウンセリングの視点からわかりやすく解説します。

“モヤモヤ”とは、小さな怒りの積み重ね

怒りとは、「自分の大切にしている価値観が踏みにじられたとき」に生まれる自然な感情です。
たとえば、

  • 「ちゃんと挨拶してほしい」という思いが無視された
  • 「時間を守るべき」というルールが破られた
  • 「公平であるべき」という価値が軽んじられた

こうした価値観が何気ない場面で否定されると、人は小さく“モヤっ”とします。
このモヤモヤは、すぐには怒りとして表面化しないことが多く、心の中に蓄積されていきます。

問題は、この**“小さな怒り”に気づかずに溜め込み続けてしまうこと**。
やがてあるきっかけで、感情が一気に吹き出すように爆発し、自分でも制御できない怒りとなって現れてしまうのです。

感情のコップがあふれる瞬間

心理カウンセリングでは、怒りを「コップの水」にたとえて説明することがあります。

日々のモヤモヤは、コップに少しずつ水を注ぐようなもの。
ちゃんとこぼさずにいれば、問題はありませんが、注ぎ続ければやがてコップはいっぱいになり、あふれてしまいます。

そのとき、あふれ出すのが「怒鳴る」「感情的になる」「物に当たる」といった“爆発的な怒りの表現”です。
そして、あふれたあとに押し寄せるのが、後悔や自己嫌悪──「またやってしまった」という感情です。

では、どうすればこの“あふれる前”に気づけるのでしょうか?

アンガーマネジメントとは何か?

アンガーマネジメントとは、1970年代にアメリカで生まれた「怒りの感情と上手につきあうための心理トレーニング」です。
怒りを「なくす」のではなく、「コントロールする」ことを目的としています。

怒りには以下のような特徴があります。

  • 瞬間的に湧き上がり、持続時間は短い(ピークは6秒程度)
  • 「〜すべき」「〜であるはず」という価値観とのギャップから生まれる
  • 本当の感情(悲しみ、寂しさ、悔しさ)を覆い隠す“防衛的な感情”でもある

このことを理解するだけでも、怒りに振り回されるのではなく、「怒りを通じて自分の価値観に気づく」という視点が持てるようになります。

アンガーマネジメント3つの基本ステップ

怒りの爆発を防ぐには、「怒りを感じたときに何をするか」がカギになります。
ここでは、今日からできる基本的なステップを3つご紹介します。

1. 怒りに気づく「6秒ルール」

怒りのピークは約6秒。この間に衝動的な行動を取らずに済めば、その後の選択肢がぐっと広がります。

  • 深呼吸をする(吸って3秒、吐いて6秒)
  • 一度席を外す(トイレや給湯室などへ)
  • 「今、怒ってるな」と心の中でラベリングする

まずは「自分は怒っている」と自覚すること。
それだけで、怒りを“反応”ではなく“選択”に変える余地が生まれます。

2. 怒りの裏にある“本音”を見つける

感情が落ち着いたあと、自分に問いかけてみてください。

  • 本当は、何を大事にしたかった?
  • なぜ、そこまで反応したのか?
  • 相手にどうしてほしかった?

怒りの裏には、「大切にされたかった」「理解してほしかった」「期待を裏切られた」という、あなたの“願い”があるはずです。

それを見つけられるようになると、怒りを通じて自分の価値観やニーズに気づくことができます。

3. 伝え方を変える「アサーティブ・コミュニケーション」

怒りを感じたとき、それを我慢するのではなく、建設的に伝える方法があります。
それが「アサーティブ・コミュニケーション」です。

例)

×「なんでそんな言い方するんですか?」
○「その言い方に少し驚きました。どういう意図だったか教えてもらえますか?」

×「いつも自分ばかりに押しつけてくる!」
○「最近、私のタスクが多くなっていて、少し負担を感じています。分担について相談できませんか?」

アサーティブとは、自分の感情や意見を、相手を傷つけずに伝える“自己主張の方法”。
怒りを伝えることは、関係を壊すことではなく、むしろ関係を良くするための対話です。

職場の怒りを“自分責め”にしないために

怒りをぶつけてしまったとき、人は後悔します。
でもそれは、あなたが本当は「関係を大事にしたかった」「もっとわかり合いたかった」と思っていた証です。

怒りが湧いたことを責める必要はありません。
その感情に気づけた自分を褒めてあげてください。

怒りはあなたの中にある「大切なもの」が教えてくれるサインです。
そのサインをうまく受け止め、未来に活かす力こそが、アンガーマネジメントなのです。

最後に──Hanasuという“話せる場所”

「職場での怒りをうまくコントロールできない」
「つい感情的になってしまって落ち込む」
「誰にも本音を話せずにモヤモヤしている」

そんなときに、自分の気持ちを安心して話せる“心の居場所”があることは、何よりも大切です。

オンラインカウンセリングサービス「Hanasu(ハナス)」は、
「悩みを一人で抱え込まない世界をつくる」
をコンセプトに、資格を持つカウンセラーがあなたの心にやさしく寄り添います。

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怒りの奥にある“あなたの大切な気持ち”に、言葉を与えてみませんか?
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