はじめに
チームは機械ではありません。どんなに優秀なメンバーが揃っていても、成果が出ず「なんとなく停滞している」状態に陥ることは珍しくありません。
目に見える問題はない、表面的には大きなトラブルもない——それでも、どこか活気がなく、進化していない感覚。そんなときに必要なのが、「心理的リーダーシップ」です。
この記事では、心理学の視点から停滞チームを再起動するために求められるリーダーの在り方について考えていきます。
なぜチームは「なんとなく停滞」するのか?心理的メカニズム
1. ホメオスタシス(恒常性)の罠
人間には現状維持を好む「ホメオスタシス」という心理的メカニズムがあります。
- 新しい挑戦への不安
- 変化に対する抵抗
- 現状の快適さへの依存
これらが無意識に働き、「今のままでいいや」という空気がチームに蔓延していきます。
2. 心理的安全性の欠如
表面的な仲の良さと、本質的な心理的安全性は違います。
- 本音を言えない
- 違う意見を言うと浮いてしまう
といった空気があると、新しいアイデアや提案が出にくくなり、結果として停滞感が生まれます。
3. 目的意識の希薄化
目の前の業務をこなすことに意識が向きすぎ、
- 何のためにこの仕事をしているのか?
- チームとしてどこを目指しているのか?
という「意味づけ」が薄れてしまうと、エネルギーは失われていきます。
停滞チームに必要な“心理的リーダーシップ”とは?
1. 安心して「違い」を出せる空気をつくる
心理的リーダーシップの第一歩は、
- 異なる意見を歓迎する
- 失敗やミスに寛容である
- 「質問」や「疑問」を奨励する
といった姿勢を示すことです。
メンバーが「こう言ったら変に思われるかも」という不安を感じない環境づくりが、停滞を打破する原動力になります。
2. 小さな挑戦を後押しする
いきなり大きな変革を求めるのではなく、
- 新しいやり方を試してみる
- 小さな提案を実践してみる
といった「小さな挑戦」を肯定し、後押しすることが重要です。
心理学では「成功体験の積み重ね(自己効力感の向上)」が行動変容を促すことが知られています。
3. チームの“意味”を再定義する
停滞しているチームには、「存在意義のリマインド」が有効です。
- 私たちは誰のために、何のために存在しているのか?
- このチームが果たすべき社会的・組織的な役割とは?
を対話を通じて共有し、メンバーに「自分たちの仕事の意味」を取り戻してもらいましょう。
4. 感情に寄り添い、動機づけを高める
単なる業務指示ではなく、
- なぜこの業務が重要なのか?
- あなたの強みがここでどう活かされるのか?
を丁寧に伝えることが、内発的動機づけ(デシとライアンの自己決定理論)を引き出します。
心理的リーダーシップを発揮するために心がけたいこと
- 自分の感情・思考を言語化して開示する(自己開示)
- メンバーの話をジャッジせずに聴く(傾聴)
- 完璧なリーダーを目指さず、成長する姿を見せる
これらの積み重ねが、チームに「変わっていい」という許可を与えるのです。
おわりに:心理的エネルギーを取り戻すリーダーシップへ
停滞したチームを動かすのは、強制や叱責ではありません。
メンバーの心に働きかけ、安心と挑戦のエネルギーを引き出す心理的リーダーシップこそが、真の変革をもたらします。
心理学の知見を味方に、あなたのチームに再び“動き出す力”を灯していきましょう。
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