はじめに
コロナ禍を契機に一気に加速したリモートワークは、今や働き方の選択肢として定着しました。
しかし、対面での何気ない会話やちょっとしたアイコンタクトがなくなった今、多くのビジネスパーソンが密かに感じているものがあります。それが「つながり不安」です。
この記事では、心理学の視点から、フルリモート時代に生まれた新たな課題である“つながり不安”を乗り越え、対話によって心理的安全性を育む方法について解説します。
リモートワークで生まれる“つながり不安”とは?
1. 孤立感の増大
- 誰にも相談できずに悩みを抱える
- チームに自分の存在意義を感じにくい
といった「心理的孤立」を感じる社員が増えています。
2. 承認不足による自己効力感の低下
リモート下では、対面のような「ありがとう」「助かったよ」というちょっとした承認やフィードバックが減少し、
- 自分の仕事が評価されているのか分からない
- やりがいを感じにくい
といった心理状態に陥りやすくなります。
3. 誤解や不信感の拡大
非言語情報(表情、声のトーン、姿勢など)が伝わりにくくなるため、
- 上司や同僚の意図を誤解する
- ちょっとしたズレが不信感に発展する
リスクも高まっています。
心理学が教える“つながり不安”の本質
心理学では、人間の基本的な欲求として「関係性の欲求(Relatedness)」が挙げられています(自己決定理論)。
- 誰かに理解されたい
- 誰かとつながっていたい
という感覚は、人間が生きる上で不可欠なものです。
リモート環境下でこの欲求が満たされないと、モチベーション低下、不安感の増大、メンタル不調へとつながってしまいます。
対話によって心理的安全性をつくるための実践ポイント
1. 雑談の「意図的な」設計
リモートでは自然発生的な雑談が起きにくいため、
- 1on1の冒頭で最近のプライベート話をする
- 雑談専用のチャットチャンネルをつくる
といった、雑談を意図的に設計する工夫が必要です。
2. 「見えない努力」を見つけて承認する
リモートでは、成果だけでなく、
- 日々の地道な工夫
- チームへのサポート行動
といった“見えにくい貢献”にも目を向け、承認の言葉を届けることが大切です。
3. 感情共有の場を持つ
心理的安全性を高めるためには、
- 今、何を感じているか
- どんなことで悩んでいるか
を安心して話せる場が必要です。
- 「今週の気持ちチェックイン」をミーティング冒頭に入れる
- 1on1で仕事以外の感情にも寄り添う
といった小さな工夫が効果的です。
4. 小さな「意図的な傾聴」を積み重ねる
- 相手の発言を遮らず、最後まで聴く
- 相手の言葉をオウム返しして受け止める
といった傾聴スキルをリーダーが実践することで、徐々に対話の質が高まり、安心感が醸成されます。
リモート時代に強い組織文化を育てるために
1. 心理的安全性を組織ビジョンに位置づける
- 「成果だけでなく、互いを尊重する文化を大切にする」
- 「安心して本音を話せる組織を目指す」
といったビジョンを、経営層自らが発信しましょう。
2. 対話の重要性を全社員に伝える
- 対話は雑談ではなく、戦略的な組織資源である
- 対話の質が、成果にも直結する
という認識を共有し、継続的な対話文化を育てます。
3. 対話を促進する仕組みを整える
- 1on1ミーティングの標準化
- チームごとの感情共有ミーティングの設置
- オンライン上の雑談イベントの企画
など、制度として対話を支えることが重要です。
おわりに:リモート時代の「新しいつながり方」を創ろう
リモートワークによって生まれた「つながり不安」は、決して個人の問題ではありません。
組織全体で対話を意図的にデザインし、心理的安全性を高める努力を続けることが、
- 生産性の向上
- 離職防止
- チームのレジリエンス向上
につながっていきます。
心理学の知見を活かしながら、新しい働き方にふさわしい「新しいつながり方」を一緒に創っていきましょう。
ラポトークのご紹介
ラポトークは、心理学を基盤とした対話型組織開発サービスです。
- フルリモート環境下での心理的安全性向上支援
- 1on1ミーティング活性化プログラム
- チーム対話促進ワークショップ
を通じて、持続可能な組織づくりをサポートしています。

