採用コピーが“刺さらない”理由は、センスの問題ではない

「なんとなく印象に残らない」「誰の心にも届いていない気がする」。そう感じる採用コピーは少なくありません。しかし、それは必ずしも“言葉のセンスがないから”ではありません。

企業が陥りがちなのは、自社の強みやビジョンを主観的に言葉にしてしまうこと。結果として、よくある表現に収まり、「どこにでもあるような会社」に見えてしまうのです。

採用コピーとは、いわば就活市場における「旗印」です。多くの学生が似たような企業を比較しているなかで、「この会社はなんか違う」と思わせる言語設計こそが鍵になります。

そのために有効なのが、競合企業のコピーを徹底的に分析すること。他社の言葉の使い方・世界観・訴求軸を把握することで、自社が埋もれずに“刺さる”ポジションを取るための逆算が可能になります。

採用コピーづくりの第一歩は「競合を見ること」から

自社の魅力を伝えたい――その気持ちは当然です。しかし、採用広報の世界では、「伝えたいこと」よりも「伝わること」が何倍も重要です。

学生は1日に何十社もの採用サイトや募集要項を目にします。その中で目に留まるのは、「自分に関係がある」「この会社は他と違う」と感じる言葉だけです。

だからこそ、自社のコピーを考える前に、競合他社のコピーを調べることが大切です。

たとえば、以下のような視点で競合分析を行います。

  • 採用ページや会社紹介の冒頭にどんなコピーがあるか
  • 動画やパンフレットでどのようなトーンで語られているか
  • SNSでの訴求メッセージや、採用広報のビジュアルはどうか
  • 社員インタビューで強調されている言葉の傾向は?

こうした観察を通して、「他社が何を強みとして伝えているか」「どんな言葉が多用されているか」が浮かび上がります。

よくある採用コピーの例と限界

競合分析を行ってみると、以下のような採用コピーが非常に多いことに気づきます。

  • 「挑戦できる環境」
  • 「一人ひとりの成長を大切に」
  • 「自由な働き方ができる」
  • 「若手でも裁量がある」
  • 「チームで支え合う文化」

一見、前向きで魅力的な言葉ですが、これらはどの企業も言っていることが多く、差別化要素にはなりません。学生側からすると、何社見ても似たような言葉ばかりが並び、「結局どこが違うのか分からない」という印象になってしまいます。

つまり、「良さそうなことを言う」だけでは選ばれないのです。

必要なのは、他社があえて語っていないテーマ、まだ誰も使っていない切り口を見つけ出し、自社ならではの視点から言語化することです。

差別化のヒントは「言っていないこと」にある

競合分析の本質は、「真似すること」ではなく、「他社が言っていないからこそ、自社が言えること」を見つけ出すことです。

たとえば、以下のような逆張り的な発想が、かえって学生の目に留まるコピーにつながります。

  • 多くの企業が「スピード感」を訴求しているなら、自社は「ゆっくり考える文化」を打ち出す
  • 多くの企業が「挑戦」を掲げているなら、自社は「堅実さ」や「着実な支援」を打ち出す
  • 多くの企業が「個性の尊重」をうたっているなら、自社は「調和」や「チームワークの濃さ」を打ち出す

こうした対比による差別化は、学生の目に止まりやすく、記憶にも残りやすい特徴があります。あえて「地味さ」や「不器用さ」を打ち出す企業が注目されるのも、こうした逆算的な戦略が背景にあるのです。

採用コピーの設計手順:4つのステップ

具体的なコピー開発の手順は以下の通りです。

1. 競合企業をピックアップ

業種や職種、企業規模、働き方などが類似している5〜10社程度を選び、採用サイトやSNS、求人広告をチェックします。

2. 各社のコピーやキーメッセージを抽出

それぞれの企業が採用ページの冒頭でどんなメッセージを伝えているか、社員インタビューの中でどんな価値観を強調しているかを分析します。

3. 「他社が言っていないこと」リストを作る

競合があまり触れていないテーマや、自社だからこそ語れる特徴(立地・社風・制度・代表の考え方など)をリスト化します。

4. 自社の特長 × 学生の感情 を掛け合わせる

リスト化した要素と、学生側のニーズ(不安・希望・疑問など)を掛け合わせることで、初めて刺さるコピーの方向性が見えてきます。

たとえば、

  • 【自社の特長】年功序列ではなく、地道な努力が評価される
  • 【学生の感情】「自分は要領がよくない」「でも真面目に向き合いたい」
    → コピー案:「うまくなくていい。まっすぐな人が、評価される会社。」

こうした設計を行うことで、ただの「かっこいい言葉」ではない、リアルで共感性のある採用コピーが生まれます。

採用コピーは“立ち位置の言語化”である

採用コピーは、企業がどのようなスタンスで採用市場に立っているのかを表す、いわば“言語による旗”です。その言葉ひとつで、応募するかどうかを決める学生も多く存在します。

だからこそ、主観的に「これがいいと思う」ではなく、客観的なポジションを定めた上で言葉を選ぶ必要があります。競合分析はそのための強力な手段なのです。

まとめ

採用コピーづくりにおいて重要なのは、「自社が伝えたいこと」を主軸にするのではなく、「学生が聞きたいこと」そして「他社が言っていないこと」を見極めることです。

競合企業を冷静に観察し、「何を言っているか」よりも「何を言っていないか」に注目してみましょう。そこに、自社だけが語れる“物語”や“らしさ”が見えてくるはずです。


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