はじめに

新年度を迎え、多くの職場で新入社員を迎える季節がやってきました。

指導役を任され、「どう接すればいいのか分からない」「自分もまだ完璧じゃないのに」と不安を抱えている先輩社員の方も多いのではないでしょうか。

しかし実は、新人を指導する経験こそ、先輩社員自身の成長を大きく促すチャンスでもあります。

本記事では、心理学の観点も取り入れながら、なぜ“教えること”が“学ぶこと”につながるのか、そして先輩社員としてどのように新人と向き合えばよいかを具体的に解説していきます。


教えることは最大の学び:心理学が示す“ティーチング効果”

心理学の研究においても、「人は教えることでより深く学ぶ」ということが明らかになっています。

これは「ティーチング・ラーニング効果」と呼ばれ、他者に教える前提で物事を学ぶと、記憶の定着や理解が深まるという現象です。

新人にわかりやすく説明しようとする過程で、自分の知識や経験を整理し直すことになります。

その中で、「なぜこの業務はこうなっているのか?」「この判断はどう説明できるのか?」といった根本的な問いに向き合い、思考が深まります。


自己効力感の向上:人を育てることで得られる自信

バンデューラの「自己効力感」の理論によると、人は「自分にはできる」という感覚(=自己効力感)が高いと、より主体的に行動できるようになります。

新人指導に成功し、「自分の伝え方で相手が変化した」と実感できた瞬間、先輩社員自身の自己効力感は飛躍的に高まります。

この成功体験の積み重ねが、日々の仕事へのモチベーションや成長への意欲を後押ししてくれるのです。


共感と信頼がチーム力を高める

新人指導では、相手の立場に立って考える「共感力」が求められます。

相手が何につまずいているのか、自分が新人だったころを思い出しながら接することが重要です。

この“共感ベース”のコミュニケーションは、心理的安全性を高めるだけでなく、職場全体にポジティブな影響を与えます。

結果として、部下や後輩だけでなく、自分自身も安心して働ける環境が生まれていくのです。


新人の視点で業務を見直すチャンス

新人からの素朴な質問に「なぜそのやり方なのか?」と答えに詰まること、ありませんか?

それこそが、業務の“前提”を再確認する貴重なタイミングです。

新人の視点は、時に職場の“当たり前”を揺さぶり、改善のヒントをくれることがあります。

「教える」という行為を通して、先輩社員自身の業務の質もアップデートされていくのです。


先輩社員が押さえておきたい新人育成のポイント

✅ 最初の1ヶ月は“教える”より“支える” 新人はとにかく緊張しています。「安心して質問できる空気」をつくることが最優先です。

✅ 完璧を求めすぎない 自分自身が“完璧な指導者”である必要はありません。「一緒に成長しよう」という姿勢が新人との信頼関係を育みます。

✅ こまめなフィードバックを 「よかった点」と「改善点」の両方をバランスよく伝えることで、相手の学習効果が高まります。

✅ 新人に“任せる勇気”を持つ 信頼して任せることで、新人も責任感を持って成長していきます。


おわりに:指導はキャリアの通過点ではなく成長の加速装置

「新人を育てる」という経験は、単に“誰かのため”だけではなく、あなた自身の成長のためでもあります。

人を支える力、伝える力、共感する力、そして考え直す力——。

指導を通じて磨かれるこれらのスキルは、今後のキャリアの大きな財産となるでしょう。

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