「エントリー数」「説明会参加者数」だけで、本当に採用を語れるのか?
多くの企業が、採用活動において「エントリー数」「説明会参加者数」「内定承諾率」などの数値指標(KPI)を用いています。
確かに、これらはプロセスの可視化や施策改善には欠かせないものです。
しかし、ここで一つ問いたいのは、それらの数字の“質”は本当に伴っているのか?という点です。
- 説明会に来たけれど、内容には無関心だった学生
- エントリーしたけど、興味は薄く、“なんとなく”で応募した学生
- 内定を出したけれど、「最後はどこかには入るか」と言って決めた学生
こうした学生をいくらKPIとしてカウントしても、それは本質的な「マッチング」や「定着」にはつながりません。
数の時代から、“熱量”の時代へ
Z世代の学生は、情報過多な時代を生き、表面的な「企業の良さ」には簡単には動かされません。
だからこそ、採用広報や選考プロセスのなかで、「いかに共感を生むか」「いかにファンになってもらうか」が極めて重要になっています。
企業が一方的にアピールするのではなく、「この会社、なんか好きだな」「この人たちと働きたい」という感情的な接続があるかどうか。
それこそが、これからの採用で最も重視すべき成果指標(KPI)なのです。
新たなKPIの提案:「共感率」と「ファン化率」
共感率(Empathy Rate)とは?
説明会やコンテンツを通じて、学生がどれだけ“自分ごと”として企業を捉えたかを測る指標。
- イベント後アンケートで「自社に共感した」と回答した割合
- 動画・SNS投稿における「保存数」「コメント率」などの反応指標
- 「説明会のどこに共感したか?」といった自由記述の熱量分析
つまり、“どれだけ共感を呼び起こしたか”を定量・定性で可視化することです。
ファン化率(Fan Conversion Rate)とは?
企業に対してポジティブな感情や関心を持ち続け、継続的に接点を持とうとする学生の割合。
- イベント参加後にSNSフォローやリピート参加した学生の割合
- 選考外でも会社に関心を持ち続けてくれる学生の数
- インターンや社員コンテンツに対して「周囲に勧めたい」と回答した割合
ファン化率が高ければ、内定辞退率が下がり、入社後の定着率・活躍率も高まる傾向にあります。
なぜ今、“共感”と“ファン化”が重要なのか?
1. 「情報の正しさ」より「感情のフィット感」が重視されている
Z世代の就活は、合理性よりも感情のフィット感で動く傾向があります。
- 「自分と価値観が近い」
- 「この社員の考え方が好き」
- 「企業理念が自分の想いと重なる」
こうした感覚的な一致が、最終的な選択理由になることが増えています。
これは従来のスペック重視型KPIでは把握しきれません。
2. 採用は“ブランドづくり”の一環である
採用は単なる人員確保ではなく、企業ブランドの構築プロセスでもあります。
「この会社はなぜ存在するのか」「社会にどう向き合っているか」を、言語化し発信していく過程は、顧客にも社員にも伝わっていきます。
共感率やファン化率をKPIに設定することで、採用が企業の本質的価値を磨く時間になるのです。
共感とファン化を測るには、何をすればいいか?
ここからは、実際の現場で導入可能な工夫をいくつか紹介します。
① エントリーではなく“共感の言語化”を指標にする
たとえば説明会後に、こんな設問を設けてみましょう。
- 「あなたがこの会社に共感した点は?」
- 「話を聞いて、“今までと違う”と思ったことは?」
- 「どの社員の言葉が印象に残ったか?」
その回答から、ただの関心ではなく、“どのように共感が生まれているか”を可視化できます。
② SNSや動画の「感情リアクション」を指標にする
- 「いいね」よりも「保存数」
- 「コメント」の内容の質
- 「視聴維持率」「リピート視聴」などの分析
数よりも、“どのように心を動かしたか”という観点でコンテンツ評価を行いましょう。
③ “途中離脱者”の声にも注目する
途中で選考辞退した学生こそ、貴重なヒントを持っています。
共感できなかったのか、途中で冷めたのか、それとも他社に“より惹かれた”のか。
- 辞退理由のアンケートに「選考で共感できた点/できなかった点」を設ける
- 選考外の学生に「参加して良かった点/モヤモヤした点」を聞く
こうした“離脱後の感情ログ”を取ることで、ファン化を防げなかった理由が見えてきます。
数字だけでは見えない、「ブランドの手触り」をKPIにする
採用はもはや“効率”や“コストパフォーマンス”だけで評価すべき領域ではありません。
Z世代が求めているのは、「感情を動かされたかどうか」「その会社で働く意味があるかどうか」です。
だからこそ、採用KPIに「共感率」「ファン化率」といった“質”や“感情”にまつわる指標を組み込み、振り返る視点を企業側が持つ必要があります。
DRAMATIC CAREERSでは、企業独自の「共感型KPI設計」を支援しています
- 説明会・動画・採用コンテンツの共感度分析
- ファン化を促す採用シナリオ設計支援
- 若手視点でのインタビュー設計・熱量スコア化
- 採用広報からエンゲージメント設計への一貫支援
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