はじめに:「正しい判断」は“冷静さ”からしか生まれない
組織の中で、マネージャーは常に選択を迫られます。
誰を抜擢するか、どのプロジェクトにリソースを割くか──。
その一つひとつの決断が、チームの未来を左右します。
しかし現実には、多くの意思決定が感情に影響されているのが実情です。
- 焦りから「すぐに結果が出そうな方」を選んでしまう
- 怒りから「信頼を失った部下」を外してしまう
- 不安から「安全策」ばかりを選ぶ
冷静な判断をするために必要なのは、知識でも経験でもなく、
EQ(Emotional Intelligence:感情知能)です。
EQが高い人ほど「判断がブレない」理由
① 感情を客観視できる
EQの高い人は、自分の感情を“気づく”力が強い。
怒りや焦りを感じたとき、その感情に飲まれず「今、何を感じているか」を言語化できる。
この一歩引いた視点こそが、判断の冷静さを生みます。
感情を“抑える”のではなく、“観察する”
それがEQマネジメントの出発点です。
② 思考と感情を「切り分け」て考える
心理学では、意思決定を左右する要素は「理性」と「感情」の2つに分けられます。
感情を排除するのではなく、理性と感情を区別することが重要です。
たとえば部下への評価を決める際、
「好き・嫌い」ではなく「行動と成果」に焦点を当てる。
このような“切り分けの思考”が、公平で納得感のある判断を導きます。
③ 感情を“データ”として使う
感情は、判断の邪魔ではなく“情報源”でもあります。
たとえば「不安」は、リスクを察知するセンサー。
「怒り」は、価値観が侵されたサイン。
EQの高いマネージャーは、感情を判断の材料として活用します。
感情を排除するな、活かせ。
感情の中に、判断のヒントがある。
感情に流されない判断をするための3ステップ
STEP1:立ち止まって「呼吸を整える」
感情が動いた瞬間に判断しない。
一度呼吸を整え、脳の興奮を鎮める。
これは単なるメンタル論ではなく、脳科学的にも理性を取り戻す行為です。
STEP2:感情をラベリングする
「いま、焦っている」「不安を感じている」と声に出す。
この“ラベリング”行為が、感情の支配を弱めます。
感情を言葉にするだけで、扁桃体の活動が抑制されることが研究で示されています。
STEP3:「未来基準」で考える
感情的になると、視野が“今”に偏ります。
判断を下す前に「1週間後・1年後、自分はこの決断を誇れるか?」と問いかける。
この未来基準の問いが、感情に左右されない意思決定を支えます。
EQマネージャーが実践している「判断の習慣」
- すぐに決めない
→ 感情が強いときほど「一晩寝かせる」判断を徹底する。 - 第三者視点を持つ
→ 「自分がコンサルならどう判断するか?」と距離を置く。 - データと感情を両方見る
→ 数字に現れない“人の気持ち”も意思決定の材料にする。 - 決断の理由を言語化する
→ 「なぜその判断をしたのか」を説明できる状態で意思決定する。
これらはすべて、「感情を整えてから考える」ための実践的EQスキルです。
感情マネジメントは「信頼される上司」の必須条件
部下や同僚は、上司の“決断の空気”を敏感に感じ取っています。
感情に流される判断は、一瞬で信頼を失う。
逆に、感情を整えたうえでの判断は、静かに人を動かします。
EQの高い上司とは、「冷たい人」ではありません。
感情を理解し、正しく扱える人です。
感情を抑えるのではなく、整える。
整えたうえで、冷静に決める。
その繰り返しが、信頼を積み上げる。
おわりに:「話す」ことで感情は整理される
感情に流されないために最も有効なのは、“言葉にすること”です。
人は感情を言語化することで、思考を整理し、判断を取り戻せます。
もし感情に飲まれそうになったら、まずは誰かに話す。
話すことで、冷静さが戻り、思考が再起動します。
そんな「話せる場」を組織に届けるのが、
オンラインカウンセリング・プラットフォーム 『Hanasu』 です。
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マネージャーの心を整える。
感情に流されない判断力は、“話すこと”から生まれる。