はじめに
「今日はなんだか、全部がダメに思える」
「少し注意されただけなのに“自分は終わった”と感じる」
こんな“極端な思考”に振り回される日は、誰にでもあります。
そしてこれは、あなたが弱いからではなく 脳と感情の仕組みによる“自然な反応” です。
本記事では、
思考が極端になるメカニズム → 認知の偏りの種類 → EQで整える方法
の順で、やさしく解説していきます。
■ なぜ思考が極端になるのか? EQで見ると「感情のゆらぎ」が原因
思考が急に白黒はっきりしたり、悪い方へ寄ったりする背景には、
- 感情の処理が追いついていない
- ストレスで脳の認知リソースが低下
- 過去の記憶が自動的に反応
- 自己防衛反応が過剰に働く
などが重なっています。
EQ(感情知性)でいうと、特に影響が大きいのは次の2つ。
① 感情の“正体”がわからないまま溜まっている
不安なのか怒りなのか悲しみなのかが曖昧な状態だと、脳は情報処理を誤りやすくなります。
その結果、思考が偏り「極端な結論」を出しがちに。
② ストレスで“視野”が狭くなっている
ストレスを感じた脳は「生存モード」へ切り替わり、
“安全ではない情報”を優先して拾うようになります。
つまり…
感情の揺れ(EQ低下) → 認知のゆがみ → 極端思考
という流れが起きているのです。
■ よくある“極端思考”の種類(認知の偏り)
以下は心理学でよく知られている認知の偏りですが、
EQが低下した状態だと、これらが一気に強まりやすくなります。
1. 全か無か思考(白黒思考)
「完璧じゃないと意味がない」
「少しミスしただけで全部ダメ」
2. 過度の一般化
「一回失敗したから、もう全部ダメになる」
「このパターンはいつも最悪の結果になる」
3. 心の読みすぎ
「きっと私のことを悪く思っているに違いない」
「本当は嫌われている」
4. 破局化(最悪想定)
「もし上手くいかなかったらすべて終わりだ」
「会社にいられなくなるかも」
5. 感情的決めつけ
「不安だから、きっと悪いことが起きる」
「怖いと感じる=危険だ」
これらが“複数同時に起きる”と、
思考は一気に極端に振り切れます。
■ EQで思考の偏りを“フラット”に戻す方法
① 感情を名前で認識する(ラベリング)
感情に「名前」をつけるだけで、脳の扁桃体の暴走が落ち着きます。
例:
- 「不安が50%くらいあるな」
- 「怒りよりも、実は悲しさの方が大きい」
② “いま起きている事実”だけを箇条書きする
思考が混ざってしまうと極端な判断が生まれます。
事実だけを5個書くと、視野が一気に広がる。
③ “最悪シナリオ”と“現実的シナリオ”を分ける
不安に支配されていると、
「最悪シナリオ=現実」と脳が錯覚します。
・起こり得る最悪のケース
・実際に起きそうな現実的ケース
これを分けるだけで思考が中立に戻る。
④ 思考のチェック質問を使う
極端思考に気づいたら、次を自問してください。
- それは事実? それとも推測?
- 100%そうだと言える?
- 他の可能性は?
EQではこれを 「自己対話(セルフトーク)」の調整 と呼びます。
⑤ 感情の出口を作る(吐き出し・休息・相談)
“極端思考”は、感情の処理が追いつかないことで起きます。
- ノートに書く
- 10分の休息を取る
- 信頼できる人に話す
感情の循環が起きると、思考も自然に中立へ戻る。
■ まとめ:極端思考は“あなたのせい”ではない
極端な思考になる日は、あなたが弱いからではなく
脳と感情がオーバーヒートしているだけ。
そしてEQを整えれば、
思考は確実にフラットに戻ります。

