はじめに:感情を整えることは“仕事の一部”である
チームを率いる立場になるほど、感情の波は大きくなります。
「部下が動かない」「上層部のプレッシャー」「成果への焦り」──
そのすべてが、マネージャーの感情を揺さぶります。
多くの管理職は、感情を“抑えよう”とします。
しかし実際には、感情は抑えるほど増幅するというのが心理学の定説です。
感情を抑えるのではなく、整理して扱う。
それが、EQ(Emotional Intelligence:感情知能)を高める第一歩です。
感情を整理する3つの原則
① 感情を「気づく」
最初のステップは、自分の感情を正確に認識すること。
怒り・焦り・不安など、感情が動いた瞬間に「今、自分は何を感じているのか?」と内省する。
✅ ポイント:感情には「ラベル」を貼る
例:「怒っている」ではなく「無力さを感じている」「焦っている」と具体化する
これにより、感情を“客観視”できるようになります。
脳科学的にも、感情に名前をつけるだけで扁桃体の興奮が鎮まることが分かっています。
② 感情の「原因」を見つける
感情は、出来事そのものではなく「自分の解釈」によって生まれます。
たとえば、
- 部下が報告を怠った → 「自分を軽視している」と感じて怒る
- 上司に意見を否定された → 「自分が認められていない」と感じて不安になる
つまり、感情の根っこには“信念”がある。
「自分はリーダーとして完璧でなければならない」「期待に応えられなければ価値がない」
──このような思い込みを手放すことが、感情整理の鍵になります。
③ 感情を「行動」に変換する
怒り・焦り・不安は、いずれも行動の“エネルギー”を持っています。
これを「建設的な方向」に使えるかどうかが、EQの高いマネージャーの分岐点です。
- 怒り → 改善のエネルギーへ:「何を変える必要があるのか?」を冷静に考える
- 焦り → 計画の再整理へ:「優先順位を見直す」「チームで共有する」
- 不安 → 未来準備の行動へ:「リスクを洗い出し、手を打つ」
感情を“行動化”できる人ほど、リーダーシップが安定します。
EQマネジメントがもたらす3つの効果
EQ(感情知能)を高め、感情を整理できるマネージャーは、チームにも好影響を与えます。
- 信頼が生まれる
感情の浮き沈みが少なく、部下が安心して意見を出せる。 - 判断がブレない
感情に流されず、長期的視点で意思決定ができる。 - チームの感情が安定する
リーダーの感情はチームに伝染する。上司が落ち着いているほど、組織は落ち着く。
心理的安全性の高い組織とは、マネージャーのEQが高い組織でもあるのです。
感情整理のための実践ワーク
職場で実践できる、簡単な感情整理のワークを紹介します。
🧠 感情ジャーナル法
1日5分、感情をノートに書き出すだけ。
「何が起きたか」「どう感じたか」「なぜそう思ったか」を整理する。
→ 感情を可視化することで、思考が落ち着く。
💬 1on1で“感情”を共有する
1on1で「何を感じていた?」という質問を入れる。
感情を共有することで、相互理解と信頼関係が深まる。
🧘♂️ 感情の“間”を取る習慣
感情的になったときは、深呼吸や1分の沈黙を入れる。
反射的に反応せず、間を取ることが整理への第一歩です。
「感情を整える力」はマネージャーの新しいスキル
これまでの管理職は「数字で語る」ことが求められてきました。
しかしこれからは、「感情を扱う力」が成果を左右します。
なぜなら、チームのモチベーション・信頼・心理的安全性──
すべては、感情のマネジメント能力に直結しているからです。
感情を整えられる上司は、チームを整える。
そして整ったチームこそが、成果を出し続けるのです。
おわりに:「話すこと」で感情を整える文化を
怒り・焦り・不安を整理する第一歩は、“話すこと”です。
言葉にすることで、脳は感情を再構築します。
感情を抱え込まず、安心して話せる文化をつくる。
そんなマネージャーを支援するのが、オンラインカウンセリング・プラットフォーム『Hanasu』です。
🔗 Hanasu公式サイトを見る
職場に“話せる文化”を。感情を扱えるリーダーが、組織を変えていく。