「内定を出したら、あとは入社を待つだけ」ではない
内定を出し終えた企業の多くが、次のように口を揃えます。
「いい学生に内定を出せたので、あとは入社を楽しみに待つだけですね」
しかし現実には、その“待ち”の期間にこそ内定者の心は大きく揺れ動き、離脱のリスクが高まります。
- 突然、連絡が途絶える
- 他社に気持ちが傾く
- 入社直前に「やっぱり辞退します」と言われる
こうした事態は、選考中の印象や評価とは関係なく起きており、
むしろ「内定後の時間の使い方」がその大きな要因になっているのです。
プレ期の内定者は、揺れ続けている
Z世代の就活においては、「最初から“1社に決め打ち”する学生」は稀です。
むしろ、「複数社から内定を得た上で、自分なりに納得できる選択を時間をかけてしたい」と考えるのが一般的です。
この“プレ期”(内定承諾〜入社までの期間)は、以下のような感情が交錯するタイミングでもあります。
- 本当にこの選択でよかったのか?
- 他の内定先の方が自分に合っているのでは?
- 周囲の友人と比べてしまい、焦りや迷いが生まれる
- 入社後の配属・働き方に不安を感じる
この期間に企業側のアプローチが乏しい、または一方的すぎると、学生は「選ばれた側」であり続けてしまい、主体性を失っていきます。
「内定を出した日」はゴールではなく、関係構築のスタート
では、企業側はこの“プレ期”に何を意識しておくべきなのでしょうか?
答えはシンプルです。
「選考」は終わっても、「関係構築」はこれからが本番
内定を出した日から、学生は“社員になる準備”ではなく、“企業との関係を深めていく旅”に入るのです。
この旅を孤独にさせてしまっては、入社意欲は低下し、最悪の場合、辞退という形で関係が断絶されます。
よくある“失敗する内定者フォロー”の特徴
以下は、プレ期の対応としてありがちな「逆効果のパターン」です。
- 定型的な事務連絡のみ
→ 例:「次回の内定者懇親会は〇月〇日です」「入社書類を提出してください」
→ 感情的な接点がなく、温度が上がらない - コンテンツ過多/情報過多
→ 「会社紹介動画」や「ビジョン資料」など一方的な情報提供ばかり
→ “関係性”ではなく“教育”になってしまう - 「グループ化」で個を見ない
→ 懇親会やチャットグループでのやりとりが中心
→ 一部の活発な学生は盛り上がるが、内向的な学生や迷いを持つ学生には響かない
このような対応では、「フォローしたつもり」でも、学生の側では“距離が縮まっていない”感覚が残るのです。
本当に必要なのは、“感情の往復”で関係を育てること
内定者との信頼関係を築くには、「情報提供」よりも「感情のやり取り」が大切です。
特にZ世代は、「わかりやすい情報」よりも、「自分をちゃんと見てくれているか」という“関係性の質”を重視します。
有効な関係構築の打ち手(例)
- 1on1の対話機会を設ける
→ 一人ひとりの不安や期待を聞き出し、言語化を支援する - “仕事を体験する場”をつくる
→ 短期OJTや仕事観を話すワークなど、リアルな接点を提供 - 先輩社員とのカジュアルトーク機会
→ 世代の近いロールモデルとの接点は、安心感と未来像の解像度を高める - 学生自身が“貢献する場”をつくる
→ 内定者プロジェクトやブログ寄稿など、“期待されている実感”を育てる
こうした取り組みはすべて、“あなたをちゃんと見ています”というメッセージの積み重ねです。
そのメッセージこそが、入社への納得感やエンゲージメントを育てる土台になります。
関係性が“入社後”を変える
内定者との関係構築に注力した企業では、以下のような成果が現れ始めています。
- 入社辞退率の大幅減少
- 入社初日からのエンゲージメントの高さ
- プレ期の経験が「自社に入った理由」として語られるようになる
- 入社後の立ち上がりが早く、OJTの定着度が高い
つまり、“選考後”のコミュニケーションこそが、“入社後”の人材活躍に直結しているのです。
まとめ:「関係づくり」の主導権は、企業にある
学生との関係は、内定を出した瞬間に完成するものではありません。
それはむしろ、「これからどう育んでいくか」が問われるフェーズの始まりです。
選考の延長ではなく、「一緒に働く未来を描く準備期間」と捉えること。
そして、“伝える”だけではなく、“受け取る”構えを持つこと。
これが、Z世代と信頼関係を築き、入社を「始まり」に変えるための最も確実な方法です。
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