気がつけば「既読がつかない」──内定者との“突然の断絶”
ある日突然、内定者からの返信が止まる。
メールもLINEも既読がつかず、電話にも出ない。気がつけば、内定者イベントにも姿を見せなくなり、そのまま連絡がつかないまま“辞退”に至る。
いわゆる「内定者が音信不通になる」問題は、Z世代が就職活動の主役となったいま、決して珍しい話ではなくなりました。
企業からすれば、時間とコストをかけて選考し、内定を出した学生が、一言の連絡もなく離脱してしまうのは大きなショックです。
しかしこの“音信不通辞退”の裏側には、Z世代特有の心理やコミュニケーション習慣の変化、そしてプレ期(内定後〜入社前)における企業側の「距離感設計」の不備があります。
この記事では、内定者との“接続”を維持するために、企業がプレ期にできるコミュニケーション設計のあり方を具体的に解説します。
なぜ内定者は「音信不通」になるのか?
「なぜ連絡くらいできないのか?」
「常識的に考えて、おかしいのでは?」
そう思いたくなる企業担当者の気持ちも理解できます。
しかし、Z世代にとって、「辞退の連絡を入れること」そのものが大きな心理的ハードルになっているケースが多いのです。
主な理由としては、以下のような要素があります。
1. 「断る」ことへの強いストレス
Z世代の多くは、人間関係での摩擦や衝突を避けたいという傾向が強い世代です。
「断って相手をがっかりさせるくらいなら、フェードアウトした方がいい」
という考えに傾きがちです。
特に、内定通知後に企業との関係性があまり築かれていない状態だと、“一方的に通知された存在”という受け身の意識のまま、感情の距離が縮まらないまま終わってしまうことがあります。
2. 他社との比較で迷走し、「自分でも分からなくなる」
内定承諾をしたものの、「他にもっと合う会社があるのでは」と悩み始め、
考えがまとまらないまま企業とのやり取りが億劫になる。
結果、返信を後回しにしているうちに、返しづらくなり、タイミングを逃す。
こうした「迷走→沈黙」のループに入ってしまう学生も少なくありません。
3. “事務連絡”だけの関係に、気持ちが乗らない
プレ期のコミュニケーションが、入社書類・説明会案内・イベント日程などの事務的連絡だけに終始していると、学生の温度感は下がっていきます。
そうなると、企業は「返信をくれない」と感じる一方で、学生側は「心のつながりが感じられないから優先度が低い」と考え、次第に距離が開いてしまうのです。
“つながり”のデザインが、音信不通を防ぐ
音信不通という最悪の結果を防ぐには、学生が「この会社との接点は自分にとって意味がある」と感じ、継続的に関わりたいと思えるコミュニケーション設計が必要です。
そのためのポイントは以下の3つです。
1. 「承諾=ゴール」ではなく、「関係構築のスタート」と捉える
多くの企業が、内定承諾後の動きを“手続きモード”に切り替えてしまいます。
しかし、Z世代の学生にとっては、承諾は「つなぎ止められた」ではなく、「つながり始めた」状態です。
そのため、
- 1対1でのフォロー面談
- 価値観やキャリアに関する雑談的対話
- 「入社を選んでくれてありがとう」と伝える感謝のコミュニケーション
といった、“人と人との関係”を意識したアクションが、実は最も大切です。
「この会社は、自分を一人の人間として見てくれている」と感じられると、学生は企業に対する信頼感を持ち、音信不通になる可能性がぐっと減ります。
2. “情報の流通量”より、“温度感の維持”を重視する
プレ期のコミュニケーションでよくあるのが、月に1度だけ一斉送信される「お知らせメール」。
一方通行で事務的な文面に、学生が反応しづらいのは当然です。
そこで大事になるのが、“双方向で関係を温める仕組み”です。
たとえば
- 担当社員からの個別メッセージ(LINE/Slackなど)
- 月に1度のカジュアル雑談会
- 内定者同士をつなぐチャットグループでの自己紹介や共通テーマ交流
- 先輩社員とのランダム1on1「社内ラジオ」企画
こうした取り組みは、「放置されていない」「歓迎されている」という感情を内定者に持たせる効果があります。
3. 学生の“キャリアの不安”に向き合う場をつくる
音信不通になる学生の多くが、「自分は本当にこの選択でいいのか」と不安を抱えています。
その不安を吐き出す機会がないために、企業と距離を取ることで“思考停止”に入り、結果的に連絡できなくなるのです。
だからこそ、企業が一歩踏み込み、
- 「就活を振り返ってみて、今どんな感情がありますか?」
- 「他の会社と迷っている気持ちも含めて、率直に話してくれていいですよ」
といった、内定者の“ゆらぎ”を受け止める対話の場を用意することが大切です。
無理に引き留めようとするのではなく、「一緒に考えていく」というスタンスが、信頼関係を深める鍵になります。
プレ期は、“内定者”から“未来の仲間”になる時間
内定者が音信不通になるのは、決して突然の裏切りではありません。
その多くが、関係構築の機会を逃した結果としての“静かなフェードアウト”なのです。
内定者を“管理対象”として扱うのではなく、未来の仲間としてリスペクトし、対話し、安心できる場を提供すること。
それこそが、Z世代と向き合う企業に求められている本質的なコミュニケーション設計です。
“辞退されない”ではなく、“選ばれ続ける”企業へ
DRAMATIC CAREERSでは、Z世代に選ばれ続けるための「プレ期フォロー戦略」の設計支援を行っています。
- 感情の温度を上げる1on1面談プログラム
- 内定者コミュニティ設計と運用サポート
- 内定辞退防止のストーリーブランディング設計
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