はじめに

誰かの一言で落ち込み、上司の機嫌に気を遣い、友人の感情に引きずられる──。
そんなふうに「他人の感情」に翻弄される時間が続くと、自分の心がどんどん疲弊していきます。

でも本来、あなたの感情は“あなたのもの”です。
他人の感情をコントロールすることはできませんが、「自分の感情の扱い方」を磨くことで、心の波を穏やかに保つことはできます。

その鍵となるのが、EQ(Emotional Intelligence:感情知能)です。
この記事では、EQを活用して「感情の境界線を引く」具体的な方法を解説します。


1. なぜ人は他人に振り回されてしまうのか

私たちは社会的な存在であり、常に他者との関係の中で生きています。
そのため、無意識に「他人の感情」を読み取り、それに合わせようとしてしまう傾向があります。

たとえば──

  • 上司が不機嫌だと「自分のせいかも」と不安になる
  • 友人の愚痴を聞くうちに、同じようにイライラしてくる
  • 家族の落ち込みを見ると、自分まで暗い気持ちになる

これは「共感力」が高い人ほど起こりやすい現象です。
しかし、共感力と同時に「感情の境界線」が弱いと、他人の感情が自分の中に流れ込んできてしまうのです。


2. 感情の境界線とは何か

感情の境界線とは、「どこまでが自分の責任で、どこからが他人の責任なのか」を区別するラインのこと。

境界線が引けている人は、次のように考えられます。

  • 「相手が怒っていても、それは相手の問題」
  • 「私は冷静に対応すればいい」
  • 「他人の評価に自分の価値を委ねない」

一方で、境界線があいまいな人は、

  • 「相手を怒らせたのは自分のせいだ」
  • 「相手が不機嫌=自分が悪い」と感じてしまう

といった“感情の巻き込み”が起こります。


3. EQで感情の境界線を引く3ステップ

① 感情を“観察する”

まずは「自分の感情を実況中継する」ことから始めます。
たとえば上司に怒られたとき、
「私は今、焦っている」「私は悔しいと感じている」と言葉にするだけで、感情が客観視されていきます。

これはEQの中核スキルである自己認識(Self-Awareness)
感情をラベリングするだけで、脳の扁桃体の暴走が抑えられ、冷静さを取り戻せることが研究でも示されています。


② “自分の責任”と“他人の責任”を分ける

次に、「この感情は誰のものか?」と問いかけてみましょう。

  • 「上司の怒りは上司のもの」
  • 「自分の焦りは自分のもの」

このように切り分けることで、他人の感情を“受け取らない選択”ができます。
相手の機嫌を自分の責任として抱え込まないことが、境界線を引く第一歩です。


③ 感情を“意図的に切り替える”

最後に、自分の感情を「次の行動エネルギー」に変換します。

  • 焦り → 優先順位を整理するきっかけに
  • 怒り → 自分の価値観を再確認する機会に
  • 不安 → 準備を整えるサインとして受け止める

EQのスキルでいう自己調整(Self-Regulation)にあたります。
感情を抑え込むのではなく、扱う。それがEQ的な生き方です。


4. 境界線を保つための日常トレーニング

  • SNSのネガティブ投稿を見すぎない
  • 「自分が今感じていること」を1日1回書き出す
  • 「私は私、相手は相手」と心の中で唱える
  • 感情が揺れたときは深呼吸して“間”をつくる

これらを意識することで、他人の感情に巻き込まれにくくなります。


5. 他人に優しく、自分にも優しい境界線を

感情の境界線は、他人を拒絶する壁ではありません。
むしろ、「自分を大切にすることで、他人にも優しくなれる」ための線です。

他人に振り回されない心とは、自分の感情を信頼できる心
EQを高め、感情の扱い方を整えることが、結果的に「自分らしく生きる」ことにつながります。


まとめ

  • 他人の感情に巻き込まれるのは、境界線があいまいだから
  • EQを活用すれば、感情を客観視し、整理・調整できる
  • 境界線を引くことで、他人にも自分にも優しい関係を築ける

あなたの感情は、あなたの人生のハンドルです。
EQを磨いて、他人に握らせない強く優しい心を育てていきましょう。

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