はじめに──なぜ“距離を置かれる”と苦しくなるのか
恋愛でよくあるシーン。
- 昨日まで普通に話していたのに、今日急にそっけない
- メッセージの返信が遅い
- 以前より熱量が下がった
- 「少し距離を置きたい」と言われた
この瞬間、心のブレーキが壊れたように 「追いかけたい」衝動が一気に強くなる人がいます。
実はこれ、
“愛着の不均衡”
という心理モデルで説明できます。
愛着の不均衡とは?──求める側と離れる側のズレ
恋愛では、次の2つのタイプが存在します。
① つながりを求める側(接近型)
- 不安を感じやすい
- 相手の温度差に敏感
- 距離が縮まると安心する
- “確かめたい欲”が強い
② 距離を置きやすい側(回避型)
- 自分のペースを保ちたい
- 距離が縮まりすぎると負担になる
- 急に冷たくなることがある
- 感情表現が控えめ
恋愛初期は、たまたま 両者のリズムが一致していることが多いですが、
仲が深まっていくと少しずつ“愛着の差”が表に出てきます。
このズレこそが、
距離ができる → 追いかける
という現象を生む原因です。
追いかけてしまう3つの心理メカニズム
① 『相手が離れた=危険』と脳が判断するから
脳は恋愛中、相手を“安全基地”として扱います。
その基地にひびが入ると、脳はサバイバルモードに入り、
- 不安
- 焦り
- 恐れ
が急上昇します。
この状態になると、
「距離を戻さなきゃ!」
という本能的な衝動が生まれ、追いかけ行動に出ます。
② 自分の価値が脅かされたように感じるから
距離を置かれると、多くの人はこう誤解します。
- 「嫌われたのでは…?」
- 「自分に問題があったのか?」
- 「価値が下がったのかも…」
この“自己価値の揺らぎ”が、追いかける動機になります。
本質は嫌われたわけではなく、
「愛着のズレが起きただけ」
なのに、脳はそれを“自分の価値問題”として受け取ってしまうのです。
③ 手に入りにくいものを欲しくなる“希少性バイアス”が発動する
心理学的には、
距離を置かれると、人はその相手をより価値ある存在だと錯覚する
という傾向があります。
- 連絡頻度が減る
- 会う機会が減る
- 温度感が下がる
これらはすべて「希少性」を高め、
結果として欲求を増幅させてしまいます。
つまり、
“自分の本当の気持ち”ではなく、
“脳の錯覚”で追いかけている場合がある
ということです。
ここで誤解してはいけないこと
距離を置かれると追いかけたくなるのは——
あなたが弱いからでも、重いからでもない。
人間としてごく自然な反応です。
むしろ誠実な人ほど起きやすい現象といえます。
大事なのは、
『衝動で追いかける=関係がさらに不均衡になる』
という悪循環に気づくことです。
ではどうすればいい?──愛着の不均衡を整える方法
① 「相手の温度=自分の価値」ではないと理解する
距離を置く理由は、相手の“内側の都合”です。
- 一人時間が必要
- 自分の感情を整理したい
- 負担を感じた
- 仕事や生活で余裕がない
これはあなたの存在価値とは別問題。
ここを切り離して理解できるだけで、
追いかけ衝動は大きく弱まります。
② 自分の感情を“待機モード”に切り替える
距離を感じたら、まずすべきなのは行動ではなく、
感情の保留。
- すぐ返信を求めない
- 説明を急がない
- 結論を出さない
これだけで、相手はこちらに安心して戻ってきやすくなります。
③ “追いかけたくなる自分”を責めずに観察する
追いかけ衝動は、幼少期の愛着スタイルの影響が大きいです。
- 過去の恋愛体験
- 失敗への恐れ
- 自己否定傾向
これらが反応しているだけで、
あなたの本質とは別もの。
一度立ち止まり、
「今、愛着の不均衡が起きてるんだな」
と自覚するだけで、
感情は大きく落ち着きます。
まとめ──距離を置かれると追いかけるのは、愛情ではなく“愛着のズレ”
距離を置かれた瞬間に生まれる不安や焦りは、
恋愛の問題ではなく、愛着の揺れによる反応。
追いかけるほど不均衡は広がるため、
まずは自分の心を整えることが最優先です。
恋愛は、
“追う・追われる”のゲームではなく、
“ペースを合わせていく”共同作業。
この視点を持つだけで、
恋愛のしんどさは大幅に軽くなります。

