はじめに

初めて部下を持つ。これは多くのビジネスパーソンにとって、キャリアの中でも大きな節目となる瞬間です。

「自分がリーダーとしてやっていけるのだろうか」「どう接すれば信頼してもらえるのか」「育成と成果、どちらを優先すべき?」——そんな不安や戸惑いを抱えて当然です。

しかし、心理学の視点を取り入れることで、リーダーシップの“正解”が見えやすくなります。本記事では、“はじめて部下を持つ”新任リーダーが知っておくべき考え方と行動を、心理学的な理論とともに解説していきます。

「上司になったからといって、信頼されるとは限らない」

まず大前提として、肩書きや立場だけで信頼を得られる時代ではありません。心理学者スティーブン・コヴィーの「信頼残高(Emotional Bank Account)」の概念によると、人間関係において信頼とは“貯金”のようなもの。

日々の誠実な言動や、約束を守る行動、傾聴する姿勢によって少しずつ蓄積されていきます。

したがって、新人リーダーがまず意識すべきは、「部下との信頼関係をどう築くか」という視点です。無理に「上司らしく」ふるまおうとするのではなく、まずは“誠実に向き合う”ことから始めましょう。

リーダーの“あり方”がチームの心理的安全性を左右する

Googleの研究でも注目された“心理的安全性(Psychological Safety)”は、チームの生産性や創造性と強く関連しています。

「失敗しても非難されない」「自分の意見が尊重される」と感じられる環境が、メンバーの主体性を引き出す鍵です。

リーダー自身が「質問していいんだよ」「分からないことは一緒に考えよう」と伝えるだけでも、部下にとっては大きな安心感になります。

また、自分のミスや弱みもオープンにすることで、部下も「完璧じゃなくていい」と思えるようになります。

“コントロール”より“サポート”の姿勢を

はじめて部下を持つと、「きちんと管理しなければ」と感じる方も多いですが、実は“過度な管理”は部下の自律性を奪ってしまいます。

心理学の「自己決定理論(Self-Determination Theory)」によれば、人は「自律性」「有能感」「関係性」が満たされることで、内発的動機づけが高まり、より主体的に動けるようになると言われています。

つまり、リーダーがすべきことは「正解を与えること」ではなく、「考える余地を与えること」。

「このタスク、どう進めたい?」「何か不安な点ある?」と部下に問いかけ、考えを引き出す姿勢が、信頼と成長の両方を育てます。

信頼されるリーダーになるための3つの習慣

✅ 1. “聴く”を徹底する 傾聴は信頼構築の基本です。話の内容だけでなく、表情や声のトーン、沈黙の意味にも耳を傾けましょう。

✅ 2. “承認”を日常に組み込む 「ありがとう」「助かったよ」「その工夫いいね」といった日常的な声かけが、部下の自己効力感を育てます。結果ではなくプロセスも評価する姿勢が大切です。

✅ 3. “振り返る時間”を確保する 1on1などの対話の時間を定期的に設け、「最近どう?」「困っていることある?」と、立ち止まって考える機会をつくりましょう。

リーダーとしての“自分軸”を育てる

上司になったばかりの頃は、周囲からの評価や比較に不安を感じやすいものです。しかし大切なのは、“自分なりのリーダー像”を持つことです。

心理学者カール・ロジャーズは、「人は自己一致しているときに最も力を発揮する」と述べています。

つまり、他人の期待に応えようとするよりも、「自分らしいリーダーシップ」を追求することが、長期的な成長と部下からの信頼につながります。

「まだ経験がないから」と萎縮せず、わからないことは「一緒に考えよう」と言える姿勢が、最も信頼されるリーダー像かもしれません。

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