はじめに
「なんとなく、しんどい。」
明確な理由があるわけじゃない。
何か大きな出来事があったわけでもない。
でも、心が重たい。やる気が出ない。人と話すのも疲れる。
そんな状態が数日、あるいは数週間と続いている人は、決して少なくありません。
SNSで見かける「生きづらい」「つかれた」という言葉。もはや現代人の共通語のようにすらなってきています。
この記事では、その「なんとなくしんどい」という感覚に焦点を当て、心理学やカウンセリングの視点からその正体を紐解き、“自分のこころ”を言語化していくヒントをお届けします。
「しんどさ」が言語化できないのはなぜか?
「つらい」と言いたいのに、なぜかその理由がわからない。
これは、心理学では「感情の混乱」や「内在化されたストレス」の状態として説明されます。
簡単に言えば、心の中にいろいろな感情やストレスが“未整理”のまま、混ざり合っている状態です。
たとえば、
- 仕事ではうまくやっているつもりだけど、どこか満たされない
- 人間関係に問題があるわけじゃないのに、会うと疲れる
- 何もしていないのに、無性に焦る
こういった違和感は、単一の「原因」で説明できるものではありません。
この状態が続くと、私たちは無意識のうちに「何がしんどいのか分からないけど、しんどい」という“曖昧な重さ”だけを抱えることになります。
“感情の棚卸し”をしてみる
こうした曖昧な不調に対して、心理カウンセリングでは**「感情の棚卸し」**というステップが重要視されます。
これは、自分の中にあるさまざまな感情や思考を、一つひとつ丁寧に確認し、言語化していくプロセスです。
具体的には、次のような問いを自分に投げかけてみます。
- 最近、心に引っかかった出来事は何か?
- そのとき自分はどんな気持ちになったか?
- 身体に出た変化(眠れない、食欲がない、頭痛がするなど)はあったか?
- 小さな不安や怒りを飲み込んでいないか?
こうした問いに対して、正解を出す必要はありません。
ただ、少しずつ「そういえば…」「なんとなく…」という感覚を言葉にしていくことで、もやが晴れるように自分の内面が整理されていくのです。
“感情に名前をつける”という技術
心理学には「感情ラベリング(Emotion Labeling)」という技法があります。
これは、今感じている自分の気持ちに名前をつけることで、感情を客観的に扱えるようにする方法です。
たとえば、「イライラする」と感じたとき、それをもう少し細かく分類してみます。
- 焦り?
- 不安?
- 疲労感?
- 期待通りにいかないことへの苛立ち?
すると、「イライラ」の正体は実は“自分が頑張ってきたのに認めてもらえなかった”という悲しさだった、と気づけることがあります。
言葉にならない感情は、体の中に溜まり続けます。
でも、名前をつけることで、それは「見えるもの」になり、整理されていきます。
それだけでも、心は少し軽くなるのです。
なぜ「話す」と楽になるのか?
ここで重要なのが、「言語化は、ひとりでもできるけど、誰かに話すことで深まる」という点です。
心理カウンセリングでは、「話すことで自分の気持ちを整理できた」という感想がよく聞かれます。
これは、言語による自己理解が、他者との対話を通じて深化するという現象です。
誰かが自分の話を「否定せずに聞いてくれる」という安全な環境があると、人は自然と、心の奥底にある感情や記憶を言葉にしていきます。
このとき、本人も驚くほど深い気づきが生まれることがあります。
話すことは、感情の整理であり、自己との対話でもあるのです。
“なんとなく”は、立派なサイン
ここまで読んで、「でもやっぱり、自分の悩みなんて小さいかもしれない」と思った方もいるかもしれません。
でも、「なんとなくしんどい」という感覚こそが、心が出しているサインです。
何かが少しずつ積み重なって、心が「気づいて」と訴えているのです。
それは甘えでも、弱さでもありません。
“しんどい”と感じるのは、あなたの感受性が正常に働いている証拠なのです。
だからこそ、その小さなサインを見逃さずに、自分を労わることが大切です。
最後に──Hanasuという“話せる場所”
ここまでお読みくださった方の中には、「少し誰かに話してみたいかも」と思った方もいるかもしれません。
オンラインカウンセリングサービス「Hanasu(ハナス)」は、
「悩みを一人で抱え込まない世界をつくる」
をコンセプトにした、安心して話せる場所です。
資格を持ったカウンセラーと、Google Meetを使ったビデオ通話で話すことができ、匿名での利用も可能です。
1回ごとのスポット利用(6,500円〜)や、月額プランも用意されており、気軽にスタートできます。
「話すことで、こころが軽くなる」
Hanasuは、そんな体験を、もっと身近に届けていきたいと考えています。
“なんとなくしんどい”を、ひとりで抱えずに。
言葉にすること、話してみることから、少しずつ整えていきましょう。
