なぜ、好きになった瞬間から“不安”が増えるのか
多くの人が言います。
「仲良くなったはずなのに、不安が増える」
「距離が縮まるほど怖くなる」
「幸せなのに、落ち着かない」
これは“性格の弱さ”ではありません。
脳の自然な反応──幸福脅威システム(Threat of Happiness System)によるものです。
恋愛は幸福をもたらす一方で、脳にとっては“最も失いたくない対象”。
だからこそ脳は、関係が前進するほど警戒を強めてしまうのです。
幸福脅威システムとは?──幸せ=リスクになる脳の防御回路
人は、実は「幸せそのもの」に警戒する脳の仕組みを持っています。
■ 幸せを感じる
→ 報酬系が活性化し、相手への愛着が強まる
→ 「失ったらどうしよう」というリスク警戒も増える
これが 幸福脅威システム。
幸福には「維持したい」という欲求が必ず伴うため、脳はこう解釈します:
“幸せは壊れる可能性がある”
“壊れるものは守らなければならない”
その結果、恋愛が進むほど…
- 返信が遅いと不安になる
- 相手の言葉を深読みする
- ちょっとした態度に敏感になる
- 「この恋が終わる未来」を想像してしまう
といった反応が増えていきます。
恋愛初期の不安が強くなる3つの理由
① 関係の不確実性が最大になるから
付き合う前〜付き合いたては、
- 自分の位置づけが曖昧
- 相手の本気度が読めない
- 未来の予測が立たない
この“不確実性”が脳の警戒システムを活性化させます。
② 愛着システムが稼働し始めるから
人には愛着スタイルがあります。
- 安定型
- 不安型
- 回避型
- そのミックス型
恋愛が始まると“愛着スイッチ”が入り、
特に不安型傾向の人は、
- 距離の変化に敏感
- 少しの変化=拒絶サインに見える
- 相手の気持ちを常に確認したくなる
という反応が出やすくなります。
③ 過去の恋愛記憶が無意識で動き出すから
無意識の領域で…
- 過去の失恋
- 裏切り
- うまくいかなかった記憶
- 見捨てられ体験
などが再生され、
“また同じことが起きるかも”という予測が走ります。
脳は失敗した経験ほど強く記憶するため、幸せになるほど警戒が強く出るのです。
では、不安を減らすにはどうすればいい?
恋愛の不安をゼロにすることはできません。
しかし、不安に飲まれずに恋愛を続けることはできます。
① 「不安=脳の正常反応」と理解する
まず大前提として、
不安は“悪いこと”ではなく、正常な防御反応。
不安を感じる自分を責める必要はありません。
② 事実ではなく“解釈”に目を向ける
不安は「事実」ではなく「脳の予測」です。
- 返信が遅い → 嫌われた?
- 今日は距離がある → 冷めた?
- 元気がない → 私のせい?
これらはすべて“解釈”です。
事実ベースに立ち戻る習慣をつけると、感情が安定します。
③ 幸せに慣れる練習をする
幸福脅威システムは、経験値で弱まります。
- 信頼できる言動を積み重ねる
- 小さな安心を繰り返す
- 怖さを感じながら距離を縮める
- 「不安でも大丈夫だった」経験を増やす
これが“幸福耐性”を高めるステップです。
④ 自分のペースで関係を進める
恋愛のスピードが早すぎると脳が処理しきれず、警戒が暴走します。
- 少しずつ距離を縮める
- 会う頻度を調整する
- 自分の時間を確保する
“自分が安全に感じるペース”で進めることが大切です。
まとめ:恋愛で不安になるのは「弱いから」ではない
恋愛が進むほど不安が増えるのは、
- 幸福脅威システム
- 愛着システム
- 過去の記憶
- 不確実性への反応
といった脳の自然な働きによるものです。
つまり、あなたの心が“不安”を感じるのは、
それだけ相手を大切に思っている証拠でもあります。
不安をなくすのではなく、
不安と共存しながら前に進むことが幸せな恋愛を育てます。

