「御社が第一志望です」――その言葉を、企業はどこまで信じていいのか?

就活の面接でそう話す学生は今も多い一方、実際には「3年以内に辞める前提」「転職はキャリア形成の手段」という意識を持つ若手が増えています。

企業にとっては、せっかく時間とコストをかけて採用・育成した人材に早期離職されるのは大きな痛手です。
一方で、学生・若手にとっては、「最初の会社=ずっといる場所」という価値観そのものがすでに過去のものになっています。

では、企業はこの“転職前提”のキャリア観を、どう受け止めればいいのでしょうか?
「離職されないように囲い込む」以外の打ち手はあるのでしょうか?

本記事では、Z世代のキャリア観の変化と、企業が取るべき本質的な向き合い方について考察します。


「転職=裏切り」ではない時代へ

昭和・平成初期の時代では、「一社で長く働くこと」が美徳とされてきました。
終身雇用や年功序列が前提にあり、「新卒で入った会社に定年まで勤める」という人生設計が一般的だったのです。

しかし、今やその構造は大きく崩れました。

  • 経済環境の変化(リストラ・倒産の増加)
  • 終身雇用の限界
  • 転職市場の成熟化
  • SNS・キャリア系メディアの普及による情報の可視化

これらの要因が重なり、Z世代にとって転職は「リスク」ではなく「成長戦略」となっています。

ある学生は、こう語ります。

「別に今の会社が悪いわけじゃない。でも、ずっといるイメージがあるかというと…ないですね」
「環境が変わることに不安はない。むしろずっと同じ場所のほうが怖いかも」

つまり彼らにとって、「会社に入る」ことはゴールではなく、通過点にすぎないのです。


「会社に入る=終わりじゃない」マインドが生まれる背景

1. ロールモデルが多様になった

SNSやYouTube、Voicyなどを通じて、さまざまな働き方を目にすることができるようになった現代。

  • 新卒フリーランス
  • 副業やパラレルワークをする会社員
  • 大手を数年で辞めて起業した人

こうした“脱・伝統キャリア”の人々が身近に存在することで、「会社にずっといる必要はない」と自然に思える環境ができています。


2. キャリア形成は「自分でデザインする」もの

Z世代にとってキャリアは「企業に与えられる」ものではなく、「自分で選び、設計する」もの。

  • 自分らしさを大事にしたい
  • 興味や価値観が変わるのは自然なこと
  • スキルを軸に横断的に働きたい

こうした志向を持つ彼らにとって、“転職しない理由がない限り、選択肢を持っておく”のは当然の行動なのです。


3. 「会社に尽くす」動機が薄れている

かつてのように、「会社に忠誠を誓えば守ってくれる」という信頼関係は希薄になっています。
企業が経済変動で人員整理をする現実を、Z世代は中高生の頃から見てきました。

その結果、「会社に全てを預けるのは危険」という感覚を持つようになり、企業との関係は“契約”や“共創”に近い距離感へと変わっています。


企業が取るべき3つのアクション

1. 「辞めない前提」ではなく、「一緒に働く時間の価値」を高める

これからの採用は、「長く働いてくれそうな人」を選ぶよりも、「短くても濃く働いてくれる人」とどう向き合うかが問われます。

そのためには、

  • 入社後すぐに挑戦できる機会をつくる
  • 経営やミッションと接点を持たせる
  • 自己成長を実感できる環境を整える

など、“ここで過ごす時間に意味がある”と思える体験設計が重要です。

たとえ2年、3年で離れてしまっても、次のステップに「この会社での経験が活きた」と思ってもらえれば、その人材は長期的な企業のファンになります。


2. 「卒業=関係終了」ではなく、“アルムナイ”としてつながる

人材は「出入りがある資産」です。

転職が一般的になった今、辞めた人材を“裏切り者”とせず、むしろ“価値あるOB・OG”として扱う文化が求められています。

  • アルムナイコミュニティの運営
  • 再入社(出戻り)制度の整備
  • キャリア相談を通じた関係継続

こうした取り組みによって、「ここで働いたことが誇れる」「また戻ってきたいと思える」組織文化を築くことが可能です。


3. 採用段階から“転職前提”を前提にした対話を

企業側がまだ「長くいてくれるか」を重視している一方、学生側は「転職するかもしれない」と思っている。

このギャップがあるまま選考を進めると、入社後にミスマッチや離職が起きやすくなります。

だからこそ、採用段階から以下のような対話を行うことが効果的です。

  • 「入社して何を得たいと思っているか?」
  • 「この会社でどんな力をつけたいか?」
  • 「将来、どうありたいか? その中でうちの会社をどう位置づけているか?」

このように、「転職を前提にしていてもいい。それでも、今ここで一緒に働く意味をつくろう」というスタンスを持つことで、学生との信頼関係は格段に深まります。


終身雇用ではなく、“終身関係”をつくる時代へ

今の若者は、企業を信用していないわけではありません。
ただ、「ひとつの会社に人生を預ける」ほどには、依存していないだけです。

そんなZ世代に対して、企業ができることは、“縁を長くする仕組み”をつくることです。
雇用関係が終わっても、つながりは終わらない。そんな関係性を築ける企業こそが、これからの時代に選ばれていきます。


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