はじめに

事業環境が相次いで変化する今、組織にとって「変化に耐える」ことや「自ら変わる」ことは不可欠な要素です。しかし、現場の組織に直面する人事や管理職の方のなかには「ビジョンや方針を変えたくても、現場が動かない」、「努力しても元に戻ってしまう」という声がたくさん聞かれます。

その「動かない」「変わらない」組織には、心理的なメカニズムが動いています。本記事では、その背景にある「抗抗」の心理を解緒しながら、変化を体育できる組織の施策を考えます。

変化への抗抗は、心理的に自然な反応

組織を変えるというのは、人の行動や思考のパターンを変えることに等しいといえます。このとき、人間はつい自分の習慣、歴史、コンフォートゾーンを保とうとする自然な反応を示します。

これは「ホームオスタシス」と呼ばれる心理現象に基づきます。長年習れしんだ環境ややり方を突然変えることは、ストレスや不安を伴うもの。この自然な不安感に向き合うことなしに変革だけを推し進めると、結果として「抗抗」を生みます。

たとえば、今まで自由に意見を言ってこなかった現場で突然「ダイバーシティ」の話をされても、「エラが立つけど、何を言っても無駄」と感じたり、「いいことすぎて信用できない」と、発言をこわれることもあるでしょう。

コンフォートゾーンの力と、その危うさ

人は無意識のうちに「ここまでは言ってもよい、これ以上は言ってはならない」という社会的ルールを同期し、その中で行動しています。

これを「コンフォートゾーン」と呼び、ある意味では現場を気持ちよく温める力です。しかし変革や新しいものを受け入れようとすると、このコンフォートゾーンが「ささやき」となって抗抗を生みます。

たとえば、経営層からの新方針に「何をやるにしても発言していけない雰囲気ができている」という発言が出れば、すでにそのコンフォートゾーンは縮小している証拠です。

「変われない」を解消すために、組織は何ができるか

組織が変わるとは、それを構成する一人ひとりの行動が変わることです。しかし、それはダイレクトアプローチではうまくいきません。心理学的には、次のような程度的ステップを踏んでいくことが重要です。

  1. 現状の反応や不安を公開にする
  2. 変化の目的に「人の欲求」が重要であることを明示する
  3. 小さな成功体験を重ねる
  4. 不安や抗抗のサインを取り上げる「話せる場」を持つ

変わることを簡単にしない。その上で、変わることによる「幸福の展望」を示すこと。これが組織を動かすための心理的スイッチです。

最後に

「変わる」というのは、「勝ち続ける」ということとは異なります。むしろ「失敗を受け止め、また起き上がる」ことを許される組織かどうかが問われます。

こような「心のベース」をともなう組織づくりを支援しているのが、『ラポトーク』です。 組織の信頼を再構築するコミュニケーションサービス、管理職を育成する『ラポトーク-Development-』も提供しています。

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