「なぜ、あの人が辞めたんだろう?」
誰から見ても仕事ができて、社内でも信頼されていた人が突然辞める。
そんな出来事が職場で起きたとき、多くの組織では「もったいないな」「惜しい人材だったね」といった感想が飛び交います。
けれども、本当に惜しいのは“辞めた人材”ではなく、その人が辞めるしかなかった組織の状態そのものではないでしょうか。
この記事では、いわゆる“いい人材=成長意欲や貢献意識の高い社員”が離れていく組織に共通する特徴を解説しながら、
企業やチームがいかにその兆候に気づき、改善できるかを考察していきます。
「いい人材」から辞めていくのは、なぜか?
ここでいう「いい人材」とは、単なる“高スキル人材”にとどまりません。
- 自ら課題を見つけて動ける人
- 周囲にポジティブな影響を与える人
- 組織に対して期待を持ち、信頼しようと努力していた人
つまり、組織の未来にとって不可欠な存在です。
しかし現実には、こうした人材ほど辞めていくことが多々あります。
それは偶然ではなく、組織に構造的な問題があるサインかもしれません。
「いい人材が辞める会社」に共通する組織の特徴5選
1. 現場の声が“届かない文化”になっている
意見や提案をしてもスルーされる。
議論の場はあっても「結局、上が決める」状態が続く。
そんな空気が蔓延している組織では、主体的な人材ほど早く限界を感じてしまいます。
なぜなら、行動や提案が“意味のないもの”として扱われると、
「この会社に自分の存在意義はない」と感じるようになるからです。
2. 誰が頑張っても「評価が変わらない」
努力しても、結果を出しても、「評価は横並び」「昇給は年功序列」。
そんな仕組みでは、成果を出す意味を見いだせなくなってしまいます。
もちろん評価制度は一朝一夕で変えられないかもしれません。
それでも、「見ている」「信じている」といったマネージャーの承認のひと言があるだけで、意欲はまったく違ってくるものです。
3. 「理想と現実」のギャップに誰も触れない
ミッションやビジョンを語る一方で、
現場は疲弊しており、仕事の進め方は保守的で、改善も進まない。
「掲げている理想」と「実際の働き方」に乖離がある状態に対し、
“いい人材”ほど真剣に受け止め、悩み、失望します。
そのギャップについて語ることすらタブーになっているとすれば、
未来への希望は閉ざされ、次の環境へと目を向けるしかありません。
4. 「余白」がなく、挑戦の機会が奪われている
仕事量が多すぎて自律的な挑戦ができない。
新しいことに手を挙げようとしても「今の業務を優先して」と止められる。
このように、挑戦の余白がない環境では、意欲ある人材が力を発揮できず、
やがて“やる気を失った人”と同じように扱われてしまいます。
そしてその瞬間、「このままでは自分も成長できない」と判断し、離職を決めるのです。
5. 「安心して辞められる」ほど、引き止められない
皮肉なことに、風通しが良く、退職を“裏切り”と捉えない組織ほど、
人が辞めやすくなる傾向があります。
つまり、辞めた理由は不満や対立ではなく、
- 「もっとチャレンジしたい」
- 「環境を変えて成長したい」
- 「この会社に不満はない。でも…」
という前向きな理由であることが多いのです。
しかしその背景には、「この組織ではこれ以上の成長が望めない」「今のままではもったいない」と感じさせる“限界の兆候”があるのも事実です。
組織が取るべき“見直しと対話”のアプローチ
■ 感情ベースで“辞めたくなる瞬間”を検証する
- 成果を出したのに評価されなかったとき
- 改善提案を「やらなくていい」と流されたとき
- 仲間が次々に辞めていったとき
こうした「辞めたくなる感情」がどこにあるかを、匿名の声や1on1で丁寧に拾い上げることが第一歩です。
■ 「信頼残高」が減っていないかを可視化する
人が辞めるのは、出来事単体ではなく、“信頼の残高”が減り続けた結果です。
- 自分は見られているか
- 自分の声は届いているか
- 自分に期待されているか
この3つを、上司・チーム・会社という3階層で定期的に振り返る仕組みを設けることで、
“離職予備軍”を未然に防ぐことができます。
まとめ:人材流出の責任は「辞めた側」ではない
「人が辞めたのは本人の都合」
「辞めるのは止められない」
そう割り切ってしまうことで、組織は変化の機会を失います。
むしろ問うべきは、
- 「なぜ、その人に居続けたいと思わせられなかったのか」
- 「どのタイミングで期待と現実がずれてしまったのか」
- 「声が届かなくなる空気を、放置していなかったか」
という、組織自身の向き合い方なのです。
DRAMATIC CAREERSでは、組織と人の“すれ違い”を見える化し、離職リスクの根本改善を支援しています。
- 現場の声を引き出すインタビュー・ヒアリング設計
- 離職者のデータ分析と“辞めたくなる感情”の構造化
- 1on1やフィードバック文化の再設計
「辞めた理由」を分析するのではなく、
「続けたくなる環境」をつくるための仕組みづくりをご一緒します。
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